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南相馬の5高齢者施設入所者 避難後、死亡率2.7倍に

 東京電力福島第一原発事故に伴い避難を余儀なくされた南相馬市の5カ所の高齢者施設で、入所者の原発事故後約1年間の死亡率が、過去5年間の死亡率と比べて約2・7倍に上ることが、東京大大学院医学系研究科国際保健政策学教室の野村周平氏(24)の調査で分かった。
 原発事故直後から約1年間で、事故当時の5施設の入所者計328人のうち、約23%に当たる75人が死亡した。いわゆる「原発事故関連死」とみられる人も含まれる。野村氏は「高齢者の避難は生死に関わる問題で、今後の災害時に備えた対策は必要だ」と訴えている。
 調査は市内の高齢者施設のうち、協力を得られた5施設で23年9月から24年8月まで実施した。事故当時の入所者計328人は事故後2週間ほどで、200~300キロ以上離れた神奈川県や新潟県などの高齢者施設に避難。平均2~3回程度避難を繰り返した。このうち、3施設の入所者の避難後の死亡率は平年時の3~4倍ほどに上った。一方、同じ避難経路をたどった2施設は震災前と比べ、死亡率にほぼ差はなかった。また、死亡した入所者のうち、多くは移動距離の影響があまりなく、一次避難の直後に死亡した。
 野村氏は同じ避難経路だったにもかかわらず死亡率の差が生じたことについて、各施設の職員に聞き取りを行った。医療用や介護用のカルテは避難先で引き継がれたが、死亡した入所者の多くが食事方法や栄養管理などで介助が必要だったことを指摘。また、一度に多くの入所者が一時避難した施設ではベッドや必要な薬が十分に間に合わなかったことなどが分かった。
 野村氏は「調査の結果、避難先までの時間と距離だけを優先させる避難であってはならないことは明らかだ。必要に迫られて避難する際は、入所者の身体的負担の軽減と受け入れ先でのケアの充実が欠かせない」としている。研究論文は米国医科学雑誌「PLOS ONE」に掲載される。
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 原発事故では、避難区域などの34高齢者施設の入所者が避難を強いられた。県のまとめでは25年1月現在、事故当時の入所者1766人のうち、3割ほどの520人が死亡した。福島医大の専門家の分析によると、34施設で死亡率は震災前の2・4倍。

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