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浪江・小高原発を断念 東北電 計画から45年、新設撤回は震災後初

浪江・小高原発の建設断念についての文書を佐藤知事に手渡す東北電力の海輪社長(中央)=28日午後1時5分ごろ、県庁

北電力は28日、本県で進めていた浪江・小高原発(浪江町・南相馬市)の新設計画を取りやめると発表した。建設計画の公表から45年。東京電力福島第一原発事故で地元の反対が強まり、建設は不可能と判断した。原発事故後、原発の新設断念は初めて。海輪誠社長は「地元の反対の声が大きく、国のエネルギー政策を見極め判断した」と語った。建設計画地は地元と協議し、地域振興につながる利活用を進めていく考えを示した。
 東北電力は28日に国に提出した平成25年度の供給計画に浪江・小高原発の「計画中止」を明記した。
 海輪社長は仙台市の本店で記者会見し、地元の浪江町議会が「誘致決議を白紙撤回する議案」、南相馬市議会が「誘致決議を破棄し、建設の中止を求める議案」をそれぞれ決議したことを理由に挙げ、「立地を推進することは適切でない」と総合的に経営判断したと説明した。
 建設計画地の利活用については「将来、地域が発展するような利用を計画したい」と述べ、地元から要望が出ている原子力発電以外の発電所や工業団地などの要望を踏まえながら協議を進めていく考えを示した。
 浪江・小高原発は東北電力が昭和43年1月に建設計画を公表。浪江町と南相馬市小高区に約150万平方メートルの用地取得を進めてきた。民有地のうち約98%の用地取得を終えたが、一部に根強い反対があり、計画発表から45年たっても取得が完了していなかった。
 さらに東日本大震災の津波で予定地の一部が浸水し、全域が避難区域に含まれた。原発事故で県が「脱原発」を表明するなど計画は暗礁に乗り上げていた。

■知事と地元首長中止は「当然」

 海輪社長は28日、佐藤雄平知事に建設中止の報告に訪れた。佐藤知事は「15万人の県民が今も避難を余儀なくされている現状を鑑みても当然だ」と述べ、予定地の扱いについて「地元の意向を聞いて、復興につながるよう活用してほしい」と求めた。
 桜井勝延南相馬市長は「避難している住民の感情を考えれば英断だといえる。雇用の問題も含め跡地利用は地元に寄与するものであってほしい」と話した。
 馬場有浪江町長は「全町避難し、過酷な状況下で将来への不安を抱えている町民の心情を考えると、建設白紙は当然だと思う」と評価し、「再生可能エネルギーへ切り替え、地元に貢献できる活用を望む」と述べた。

■事故後の本県事情に配慮

 浪江・小高原発の建設断念の背景には、東京電力福島第一原発事故後の本県の原発に対する評価が様変わりしたことがある。地元の浪江町議会と南相馬市議会は「計画の白紙撤回」「建設中止」をそれぞれ決議した。さらに県は県内10基の原発の廃炉を求めるなど原発建設を推進する環境は極めて困難となった。
 東北電力が昭和43年1月に建設計画を公表してから用地買収などに185億円かかった。今も多くの県民が避難生活を続けている厳しい現状にある。原発停止による影響で、電気料金値上げに踏み切るなど発電コストが重くのしかかっており、建設中止は最善の判断といえよう。
 今後は建設計画地の利活用に焦点が移る。計画地は避難区域再編で避難指示解除準備区域となり、地元の復興に寄与できる可能性を秘めている。地元からは、雇用を生み出す工業団地としての整備、復興住宅の建設などの要望が出ている。海輪社長は「雇用を創出し住民が帰還できる環境づくりに役に立ちたい」と地元の事情に配慮する姿勢を強調した。東北・新潟を事業エリアとする電気事業者として、どう地域とともに歩んでいくのかが問われる。(本社報道部副部長・安島剛彦)

カテゴリー:福島第一原発事故

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