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今を生きる やっぱり海が生活の場

コウナゴ漁の試験操業を終え、仲間と談笑する小野さん=新地町・釣師浜漁港

■相馬双葉漁協新地支所長 小野重美さん 66

 「やっぱり漁師の生活の場は海。いつまでもおかにはいられない」。震災を挟んで3年ぶりに新地町の釣師浜漁港からコウナゴ漁に出た同町の小野重美さん(66)=相馬双葉漁協新地支所長、水神丸船主=は魚を捕まえる感触を確かめた。
 コウナゴは小型船にとって春の漁の主要魚種で、最後の漁は震災前年の平成22年春だった。試験操業ながら3年ぶりとなる出漁に「みんなの心が躍った」。
 震災直後、小野さんら町内の漁師の多くは自ら船を沖に出して津波被害を避けた。このうち12隻がペアを組んで試験操業に参加している。
 魚群探知機で魚影を確認しながら船を操り獲物を追う。網に仕掛けた浮具の沈み加減が魚の群れを捕らえているかどうかの目印になる。「他の船はどうだ」。試験操業とは言え、成果を競うような漁師ならではの会話も懐かしかった。
 震災翌日に海から戻ると津波で大きな被害を受け、町の光景は一変していた。小野さんも自宅を流失し、仮設住宅で暮らす。家族や友人を失った漁師仲間も多い。震災から2年が経過したが、沿岸部の復興は道半ばだと感じている。「新地は海も山もある自然豊かな町。基幹産業の漁業が盛り上がらなくては復興は果たせない」
 コウナゴの次は夏場のシラス漁への魚種拡大を願っている。「新地の漁業は絶対に途絶えさせない」。次世代に伝統のともしびを継承することを誓った。

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