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【警戒区域 双葉町 計画的避難区域 川俣町山木屋 あす設定から2年】 再編へ不満くすぶる

 東京電力福島第一原発事故に伴い県内11市町村に避難区域が設定されてから22日で2年になる。区域再編は9市町村で完了し、双葉町と川俣町山木屋を残すのみとなった。警戒区域の双葉町は現在も町全域の帰還困難区域指定を望む声があり、民意を代表する町議会の対応が再編の鍵を握る。一方、計画的避難区域の川俣町山木屋は国直轄除染の遅れで再編協議が停滞。区域再編を前提とした財物賠償が進まず、住民は生活再建に不安を抱く。


【双葉町】議会の対応焦点 家財賠償方針に反発も

■前途多難
 政府の原子力災害対策本部が示した双葉町の再編案では、約6900人の全町民の96%の居住地が帰還困難区域、4%が避難指示解除準備区域だ。
 伊沢史朗町長は3月10日の就任直後、全域を帰還困難区域とすることを模索した。ただ、早期再編を望む住民の声を重く受け止め、2区域への再編案を避難指示解除準備区域の住民に説明し、おおむね了解を得た。住民の一部には全町一律の指定を望む声があり、23日に開かれる町議会全員協議会の議論が注目される。再編日に「6月1日」案が浮上しているが、議会の対応次第で流動的だ。
 町は原発事故後、前町長の不信任決議案可決に伴う町議会解散、前町長の辞職など町政の停滞を余儀なくされた。国直轄除染の計画は未策定で、災害査定も手付かずだ。町の担当者は「(再編後も)帰還への道のりは平たんではない」と厳しい表情を浮かべる。

■家財賠償に差
 政府の原子力災害現地対策本部は土地、建物の財物賠償を再編される区域にかかわらず、一律で全損扱いとする見通しを示した。
 ただ、冷蔵庫など家財の賠償は区域によって算定される基準通りとされた。例えば、大人5人、子ども5人の家族の場合、帰還困難区域で975万円。避難指示解除準備区域では730万円となり、245万円の差が生じる。
 同対策本部は「避難指示解除準備区域は立ち入って家財を運び出せる」として理解を求めるが、長引く避難で、家財の傷みは大きい。「賠償に差が出るのはおかしい」。住民の一部には不満がくすぶる。


【川俣町山木屋】将来設計立たず 除染優先、議論が停滞

■描けない青写真
 川俣町山木屋の約1300人の住民は区域設定から約1カ月をめどに町内外に避難した。今も財物賠償の基準となる再編見通しがなく賠償額は分かっていない。町内の仮設住宅では多くの町民が生活設計への悩みを抱える。
 住民は主に農業従事者で、避難先で新たな職を見つけるのは容易ではない。「避難先で農業を再開した人もわずか」(町関係者)なのが実情だ。
 除染作業のアルバイト、月10万円の精神的損害賠償などで日々をしのぐケースもあるという。町内の仮設住宅で暮らす農業広野太さん(63)は「財物賠償が決まる区域再編を急いで」と訴える。
 だが、再編の議論は宙に浮いたままだ。町が議論の前提とする除染が進まないためだ。

■優先順位
 町は国直轄除染の本格化を踏まえて再編議論を進め、農業振興策など地域再生の構想を住民に示そうとしている。復興策を示しても、除染が進まないことには「絵に描いた餅」になるためだ。
 環境省は昨夏に本格除染を始める予定だった。しかし、除染廃棄物の仮置き場の確保が難航し、着手できていない。仮置き場に必要な面積は約40ヘクタールだが、確保できたのは国有林内の約10ヘクタールのみだ。
 同省は5月に除染を開始する方針。ただ、「仮置き場が不十分なままでは除染の先行きは見通せない」との指摘もあり、町内からは再編協議への影響を懸念する声も漏れる。


□9市町村は完了
 政府による避難区域(警戒区域、計画的避難区域)の再編は田村市、川内村、南相馬市、飯舘村、楢葉町、大熊町、葛尾村、富岡町、浪江町の9市町村(再編完了順)で完了した。再編時期は【図】の通り。
 除染や社会基盤整備復旧を進めて住民の早期帰還を目指す避難指示解除準備区域(年間20ミリシーベルト以下)、住民の帰宅や通過交通を認める居住制限区域(同20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)、少なくとも5年間は戻ることの難しい帰還困難区域(同50ミリシーベルト超)の3区分がある。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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