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今を生きる 浪江の医療礎に 仮設診療所きょう開設 単身の二本松から毎週通勤 「安心して古里へ」

仮設診療所開設に向けて準備を進める関根さん

■国保津島診療所長 関根俊二さん 71 

 東京電力福島第一原発事故による避難区域が再編され立ち入りが可能になった浪江町に9日、町応急仮設診療所が開所する。二本松市の仮設住宅で診察する医師関根俊二さん(71)=国保津島診療所長=は、同市から週1回、自らハンドルを握り浪江に通う。「医者が診療所にいれば、安心して古里に戻ってもらえる」。東日本大震災から2年間、町民の健康を守り続けてきたドクター。医療の面から町の復興に尽くす覚悟は固い。
 関根さんは震災と原発事故以降、避難する町民と共に移動し診察を続けている。郡山市にある自宅には帰らず、現在は二本松市内のビジネスホテルに寝泊まりしている。
 疲れがたまり、体力の限界を感じることもあるという。9日からの毎週木曜日は二本松-浪江間の往復3時間の運転が加わるが、「今はやるしかない。浪江町民のために」と自らを奮い立たせる。
 仮設診療所の開設準備も引き受けた。土・日曜日、祝日を担当してもらえるよう、相馬郡医師会の関係者に、何度も掛け合い協力を得た。重症患者が出ることに備えて近くに救急車1台を常駐させ、すぐに搬送できる態勢も整った。「医師がいるというだけで、一時的に帰宅する町民や除染作業員は心強いはずだ」と力を込める。
 浪江での診察を木曜日に限ったのは、避難が長期化する仮設住宅のお年寄りの健康状態が気になるからだ。震災前は元気だったのに、つえを手放せなくなるケースが増えている。糖尿病や高脂血症などの症状も目立つ。一刻も早く古里に戻してあげたいが、今はかなわない。だから、精いっぱい患者と向き合い体の変化に気を配る。
 将来、町への住民の帰還が進んだ際には、仮設診療所を町内の医療拠点にしたいと考えている。「医師として町民にずっと寄り添い、復興を見守っていきたい」。
   ◇  ◇
 関根さんは石川町出身。学法石川高、福島医大卒。平成9年、浪江町津島の国保津島診療所に着任し、震災があった23年3月11日も同所で診察していた。原発事故で避難し、津島から二本松市東和、岳温泉と、町民と共に移動。23年9月から、安達運動場仮設住宅内の仮設診療所に勤務している。

■旧警戒区域で初の診療施設

 浪江町の応急仮設診療所は、旧警戒区域内で初の診療施設となる。町役場本庁舎1階の健康相談室に設置し、町内に一時立ち入りする町民らの急病やけがに対応する。
 毎週木曜日と土・日曜日、祝日の午前9時半から午後3時まで、医師と看護師が駐在して応急的な処置をする。木曜日は町国保津島診療所の関根俊二さんが担当し、土・日曜日と祝日は相馬郡医師会から派遣を受ける。開所日以外や重症の場合は、町役場駐在の職員が救急車の出動を要請する。

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