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今を生きる 地域に感謝 お手玉作り 保育園児らに贈る

「心を込めて縫い続けたい」と話す久子さん(右)。隣は夫の光雄さん

■大熊からいわきに避難 佐々木久子さん83
 大熊町の主婦・佐々木久子さん(83)は、地域の子どもたちに喜んでもらおうと、いわき市中央台の避難先でお手玉作りに励んでいる。約300個を仕上げ、100個を地区内の中央台保育園に贈った。残りも市内の幼稚園や保育園にプレゼントする予定だ。
 東京電力福島第一原発事故が起こるまで、夫の光雄さん(85)と長男夫婦、孫と一緒に暮らしていた。自宅の庭や畑で毎日、イチジクやプラム、ユズなどの手入れを楽しんでいた。
 原発事故後、光雄さんは体調を崩して郡山市の病院に入院し、久子さんは埼玉県秩父市に住む長女夫婦の元に避難した。その後、埼玉県深谷市のマンションに光雄さんと入居したが、知り合いもいない見知らぬ土地での生活にふさぎ込みがちになった。
 そんな姿を目にした長女(51)が「もう一度作ってみたら」と、久子さんが以前、孫のためにこしらえたお手玉と共に材料を手渡した。孫の卒園に合わせて手縫いのお手玉を幼稚園に贈って喜ばれたことを思い出した。「あの時のようにプレゼントして誰かに喜んでもらえたら」と昨年5月、現在の住居に引っ越したのを機に作り始めた。
 全て手縫いで、猫とウサギの顔を付けた2種類を制作している。光雄さんと雑談したり、テレビを見たりしながら針を進める。時間を忘れて午後10時すぎまで作業に没頭することもしばしばだ。
 「生まれ育った故郷に帰りたいと願う日もあるが、今はお世話になっている地域のため心を込めて縫い続けたい」。お手玉一つ一つに感謝の気持ちを込める。

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