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新天地、矢吹に工房 8月にも制作 「ゼロから」仮設店舗で

プレハブの仮設店舗前に立つ山田さん

■大堀相馬焼 栖鳳窯窯元 山田正博さん(63)
 浪江町の大堀相馬焼栖鳳(せいほう)窯窯元の山田正博さん(63)は矢吹町で8月にも作陶を再開する準備を進めている。自宅が帰還困難区域に再編されたことから、新天地で窯元を再出発させる。
 栖鳳窯は約100年続く伝統ある窯元。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故のため、山田さんは家族と共に窯や材料などを残して避難せざるを得なかった。大堀相馬焼協同組合は二本松市に移転、専務理事を務める山田さんは県内と避難先の茨城県つくば市を往復する毎日を過ごしていた。
 今年4月、自宅周辺が帰還困難区域に再編された。陶芸家として心機一転、自分の窯を使った作陶の日々に戻ろうと決心した。数年前から陶器市を開いて顔なじみの多い矢吹町に工房を移すことを決めた。知人を通じて、4号国道に程近い矢吹町中町に土地を見つけた。協同組合と町を通じて中小機構の仮設施設整備事業に申し込み、新たに整備された仮設店舗のプレハブ2棟を5年間の期限で借りることになった。
 仮設店舗は約100平方メートルと50平方メートル。新たにガス窯を購入し作業場と保管場所を整える。東京で陶芸教室講師として働く長男茂男さん(36)を呼び戻し、一緒に作陶に励む予定だ。8月中の操業開始を目指している。
 不安は多い。慣れ親しんだ土地から離れた場所での開業で、長年使い込んだうわぐすりや土はない。お世話になったお得意さんもいないというゼロからの再出発だ。それでも「とにかく始めないといけない」と自らに言い聞かせる。
   ◇   ◇
 栖鳳窯など大堀相馬焼の窯元が出品する陶器市は24日から26日まで、矢吹町のあゆり温泉で開かれる。

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