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双葉町あす区域再編 「帰還困難」除染は? 町北東部津波被害の復旧急務

双葉町の区域再編に向け準備を進める関係者

 28日に避難区域再編を迎える双葉町は今後、人口の96%を占める帰還困難区域の除染が課題となる。しかし、除染計画の策定さえ手付かずなのが現状だ。避難指示解除準備区域に再編され、復興の拠点となる町北東部は、津波被害の復旧が急務となっている。

■再建見通し立たず
 町の96%を占める帰還困難区域内には町役場をはじめ小・中学校や高校、病院など主要施設がある。住居や事業所、商店なども集中している。
 帰還困難区域に事業所があり、いわき市に避難している40代の男性経営者は「区域再編後も経営再建の見通しは立たない」と嘆く。事務所の空間放射線量が高く、書類や伝票などが置いたままで整理できない状況だ。
 一方、避難指示解除準備区域に再編され、日中の出入りが自由となる両竹、中野、中浜の3地区は町復興まちづくり計画案で復興準備拠点として位置付けられた。町は除染やインフラ復旧の作業員宿舎、機材の保管所、太陽光発電設備などの設置を想定している。
 しかし、3地区は震災で大きな津波被害を受けた。伊沢史朗町長は「津波被害を再び受けない環境を整えることが最優先」との考えで、国に津波に対する安全対策を強く求めている。3地区内での具体的な復興事業実施までには時間がかかる見通しだ。

■方針転換
 帰還困難区域の放射線量の低減は大きな課題の1つだ。しかし、まだ除染計画さえ策定されていない。前町長が「科学的な除染方法が確立されていない」と主張し、現段階での除染を積極的に推進しなかったことが背景にある。
 伊沢町長はこれまでの町の方針を転換し、国が行う帰還困難区域のモデル除染に協力する。「町にいつ帰ることができるのか、判断できる材料がない」とし、モデル除染の結果を基に帰還目標を具体化するよう国に求める。
 除染の実施には、除染で生じた放射性廃棄物や、沿岸部に残されたままの津波によるがれきを一時保管する仮置き場の設置が前提となる。町職員は「ほとんど白紙の状態」と明かす。「がれき全体の量を把握する作業から始まらなければならない」と膨大な業務を前に表情を曇らせた。

<■原発から4キロ
 「自宅からは福島第一原発が見えるほどの距離。子どもを連れて古里に戻ることなど今は考えられない」。避難指示解除準備区域内の自宅から郡山市に避難している30代の男性は厳しい表情で語った。
 避難指示解除準備区域となった町北東部と東電福島第一原発との距離は約4キロ。日中の出入りが可能となった双葉郡内の避難指示解除準備、居住制限両区域の中で最も原発との距離が近い。福島第一原発ではネズミが入り込んだことによる停電や地下貯水槽からの汚染水漏れの問題が相次ぎ、町民の不安は募るばかりだ。男性は「原発事故が収束したなどと誰も思っていない」とつぶやいた。

【背景】
 避難指示解除準備区域(年間積算放射線量20ミリシーベルト以下)は町民の日中の出入りが自由となる。帰還困難区域(主に同50ミリシーベルト超)は立ち入りが制限される。双葉町は人口、面積ともに帰還困難区域が全体の96%を占め、避難指示解除準備区域は4%。国と町は区域再編に合わせ、現在十数カ所のバリケードを町内の6号国道沿いを中心に約100カ所に増やす。国は同国道の浪江町と双葉町の境に職員を24時間態勢で配置し、犯罪の抑止につなげる。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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