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今を生きる 3年ぶり田植え大事な一歩 データ収集や農地保全 営農再開胸にまず行動

震災故後、富岡町内で初めて行われた田植え

■富岡 ふるさと生産組合

 警戒区域が3月に再編された富岡町に28日、3年ぶりに田植え機の音が響いた。農家でつくる、ふるさと生産組合が放射性物質のデータ収集や農地保全を目的に、水田30アールに苗を植えた。農地除染や営農再開の見通しは立たず、収穫しても食べることはできない。避難先の西郷村から駆け付けた渡辺康男組合長(62)は「破棄を前提にした米作りはつらいが、まずは行動しなければ何も前に進まない」と話す。
 田植えは町南部の下郡山地区にある会員所有の水田で行われた。ゼオライトや塩化カリウムを散布した水田に県や町の関係者と会員合わせて約30人が、ひとめぼれを中心に飼料用米など4品種を植えた。来年以降も規模を拡大しながら継続する方針だ。
 2年間にわたりコメの作付けが行われず、町内には荒れた農地が広がる。その一角で、たっぷりと水が張られた30アールの水田が輝き、営農再開に向けた「大事な一歩」に笑顔も見られた。
 同組合は再生可能エネルギーに着目し、昨年から町内の水田を利用してバイオエタノールの材料になるコウリャンやナタネなどを栽培している。この日は昨年に続き水田に隣接した20アールに5品種の種や苗を植えた。
 「放射線量を考えると当面は食用目的の農作物の栽培は難しい。とはいえ耕作を放棄し続ければ農地は再生できなくなる」と渡辺組合長。「孫の世代そして古里の将来のためにも農業を残さなければならない。再生可能エネルギーに新たな農業の道を託し、いずれ元の姿に戻る日を待ちたい」と願う。

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