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(30) 命の重さ 弔慰金 行政の対応 「県の通知」見落とす 2年放置に厳しい視線

町役場機能が入る町保健センターで業務に当たる高橋さん

 川俣町は東日本大震災で庁舎が壊れ、町保健センターなどに役場機能を移している。
 6月上旬、蒸し暑いセンターの1室。町総務課長の高橋清美さん(58)は書類に目を落とした。町が5日に委嘱したばかりの町災害弔慰金支給審査委員会の委員名簿だ。「やっと動き出せる。これ以上、住民に迷惑は掛けられない」
 国は、東京電力福島第一原発事故の避難に伴う死亡を災害関連死の対象とする方針を示している。山木屋地区が計画的避難区域となり、1300人もの住民が住まいと別の場所で暮らす川俣町は4月まで、災害関連死認定に伴う災害弔慰金の申し出を受け付けていなかった。原発事故による避難区域がある他の市町村と懸け離れた対応が明らかになったのは、3月定例町議会での町議の指摘がきっかけだった。
 町は確認に追われた。震災直後は双葉郡の避難住民を受け入れる傍ら、町内の被災状況把握など業務は混乱を極めていた。災害対応に翻弄(ほんろう)される中、見落としがあった。
 平成23年5月、町は県から「原発事故関連死」を「災害関連死」と解釈して災害弔慰金を支払うことができるとする文書を受けていた。しかし、膨大な業務の中に埋もれ、担当部署に回覧されていなかった。古川道郎町長(68)が今年4月、担当職員を口頭注意などの処分とし、会見で謝罪する事態となった。
 原発事故で避難した後、命を落とした山木屋地区の住民は町が把握しているだけでも40人に上る。原発事故当時から町幹部として被災者の支援に当たってきた高橋さんは、住民に一番身近な行政としての責任を重く受け止める。「行政側のミスで2年間も『弔慰』を示さず、遺族の苦しみを放置してしまった」
 原発事故から2年3カ月余が過ぎた。だが、山木屋の区域再編への議論はようやく始まったばかりだ。再編が前提となる東電の財物賠償は手付かずで、避難を強いられている住民の生活再建は滞っているという。
 災害関連死と認定された場合、災害弔慰金は「世帯の生計維持者の死亡」は500万円、「その他」は250万円。大切な家族を失った被災者にとって、その後の家計を支える上でも大きな金額だ。まして、避難による不自由な生活に直面している。
 遺族への弔慰金申し出書の配布、受け付け、審査委員会による認定作業...。町が進めなければならない作業は山積する。「今まで何やってたんだ」。遺族からの厳しい視線に町はさらされた。
 「言い逃れはできない。今からでも、住民に納得してもらえる対応をしないと」。家族を失った悲しみを背負う被災住民にどう寄り添っていけるのか-。高橋さんは悩む。

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