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(31) 命の重さ 弔慰金 行政の対応 滞った支給重い責任 不認定には独自見舞金

町総務課の機能が入る町保健センター。遺族から原発事故関連死の相談が相次ぐ

 東京電力福島第一原発事故から2年余りが過ぎた今年4月17日、川俣町はようやく遺族から災害関連死認定に伴う弔慰金の申し出の受け付けを始めた。
 町保健センター内に移転している町総務課には連日、相談が寄せられる。「対応が遅くなりました」。窓口に立つ職員は、町の審査委員会で原発事故や避難との因果関係が判断されることを説明し、必要書類を手渡す。
 町が受け付けた申し出は5月末現在、20件程度。死に至るまでの経緯や症状などが書き込まれている。記入漏れはないか、不足している資料がないか...。総務課、保健福祉課、原子力災害対策課の職員が点検する。書類に不備があれば審査委員会で適正な評価ができないためだ
 「業務の負担は大きい。しかし、制度があるのに原発事故から2年もの間、運用できなかった町の責任は重い」。総務課長の高橋清美さん(58)は申し訳なさそうにつぶやいた。
 3月定例町議会で町議の指摘を受け、本来実施すべき災害弔慰金の支給事務が滞っているのが発覚した。町は大急ぎで災害関連死認定に向けた災害弔慰金の申し出書の受け付けを開始し、同時に審査委員の人選に入った。法律や医療の専門的知識を持つ人物が適任とされているが、人口1万5000人足らずの小さな町で、見つけるのは容易ではなかった。
 阿武隈山系の静かな町は大規模な災害とこれまで無縁だった。高橋さんは遅々として進まない人選にいら立ちを隠せなかった。「行政の不手際で町民に迷惑を掛けた。ノウハウがないのは言い訳にはならない。これ以上、審査委員会の設置を遅らせるわけにはいかないんだ」
 町と関わりがある弁護士や医師を通じ、適任者が浮かぶと直接、本人の元を訪ねた。だが、多くの専門家は、認定されなかったケースで遺族とトラブルが生じることを嫌がり、なかなか引き受けてくれなかった。頭を下げ続け、町内外の弁護士、医師、ソーシャルワーカーの5人を委嘱し終えたのは6月上旬になってからだった。
 審査委員会による災害関連死認定の作業は、今月下旬に始まる。
 「弔慰金を支給するかどうかは厳格に審査しなければいけない。しかし、2年も運用できなかった町の責任はどうなる」。古川道郎町長(68)から独自の遺族支援策の検討を命じられた。隣接する飯舘村では、不認定の場合でも、住民に最も身近な行政として独自に弔慰金を支給していた。
 町は不認定となった場合40万円の見舞金を支払う方針を決めた。「町ができるせめてもの償い」。高橋さんに苦しい表情が浮かぶ。住民に最大限の誠意を尽くすことが町に課せられた責任だと感じている。
 ただ、国策として推進されてきた原発が事故を起こし、40キロ以上も離れた町が対応に右往左往している現状に理不尽さも感じる。「原発事故は、局地的な自然災害ではない。市町村任せにせず、国が責任を持って統一的な対応を取れる制度がなぜ整わないままなのか」

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