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(35)命の重さ 弔慰金 法律家の目線 「被害は続いている」 救済策、国に求める声

災害弔慰金制度の資料などを確認する新開さん

 東京電力福島第一原発事故から2年3カ月余りを経過した。廃炉作業は汚染水漏れや機器のトラブルが相次ぎ、依然として安定していない。双葉郡を中心に長期間立ち入ることができない「帰還困難区域」が広範囲に設定された。
 災害弔慰金の申し出受け付けはいつまで継続されるのか。国から方向性が示されない中、15万人を超すとされる被災者がストレスを抱え避難生活に耐える。
 福島市の弁護士新開文雄さん(61)は今月上旬、市内松木町に構えた事務所で、原発事故の避難住民と面談した際の資料に目を落とした。
 肉親を失った男性は災害弔慰金を受け取った。終わりが見えない避難生活で、家計をどう維持するかに不安を抱えていた-。
 弔慰金は原発事故に伴う避難中の死も対象とされ、最大500万円が遺族に支払われる。被災者の生活再建にも重要な役割を果たしている。
 平成16年10月、新潟県中越地震が発生した。建物の倒壊や揺れによるショックなどで68人もの死者を出した。住まいが損壊した住民は、仮設住宅での避難生活を余儀なくされた。苦しい生活で、さらにストレスを抱え、相次いで命を落としていった。
 同県中部に位置する長岡市。当時、弔慰金の申し出が続いた。いつまで対応すべきか。市に「終期」の議論が持ち上がった。「発生後、半年以上経過すると、震災関連死ではないと推定される」。市は結論を出した。「長岡基準」と呼ばれる。東日本大震災の発生後、国が参考として基準を都道府県に送付した。
 原発事故の避難に伴う災害関連死は、国の想定を超えて拡大した。本県の市町村は原発事故の被災者が苦しい避難生活を強いられている現状を踏まえ、現在も対応を続けている。
 しかし、避難と死との因果関係は日に日に見えにくくなっている。市町村の審査委員会でも関連死の認定作業が困難を極めている。こうした状況に対し、新開さんは原発事故に伴う弔慰金支給には長期的対応が必要だと説く。受け付けの終期を判断する時期として「5年から10年ほど経過し、申し出ゼロの期間が続いた段階」と考えている。
 制度を記す災害弔慰金の支給等に関する法律には申し出受け付けの「終期」の規定はない。
 弔慰金の制度を担当する厚生労働省社会・援護局の担当職員は、素っ気ない。「被害状況が地域ごとに異なるため、国が『いつまで』と示すことは困難。あくまで市町村の事務だから...」
 弔慰金の額は妥当なのか、申し出受け付けの終期は...。日弁連は弔慰金支給に関し、できるだけ広く認定すべきとの意見書をまとめている。新開さんは、制度設計への動きが見えない国への怒りを胸に、原発事故という大災害に巻き込まれた住民に寄り添う。「原発事故は今も続いている。国が責任を持って原発事故に特化した救済策をつくるべきだ」=「命の重さ 弔慰金」は終わります=

カテゴリー:原発事故関連死

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