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来月待望の再開 四倉復興へ絶景の湯 地元連携 周遊バス運行検討

温泉の再開に向けて準備を進める木村さん

■いわき蟹洗温泉 支配人 木村秀史さん(53)

 東日本大震災で津波被害を受けたいわき市四倉町の「太平洋健康センター いわき蟹洗温泉」は7月、震災から約2年4カ月ぶりに営業を再開する。支配人の木村秀史さん(53)は「多くの利用客を呼び込み、地域全体の活性化につなげたい」と意気込む。施設の大半が浸水で使えなくなったが、幸いにも温泉は枯れずに残った。海を望む観光施設を復活させることを「天命」だと悟った。地元商店街と連携し周遊バスの運行を計画するなど、復興の夢実現に駆け回っている。

 まるで悪夢だった。平成23年3月11日。年間約20万人の来場を誇った、いわき蟹洗温泉は鉄筋コンクリート2階建ての1階部分が津波に流された。「利用客が施設に取り残されている」。従業員からの一報を受け、四倉の自宅にいた木村さんは車で駆け付けた。
 目にしたのは毛布1枚で寒さに震える約60人の利用客。高台の四倉高に誘導した。エントランス、食堂、露天風呂、屋内風呂、サウナなど主要設備の大半が使えなくなった。半年で約100人の従業員・パートのほとんどが離職した。
 東京電力福島第一原発事故の風評被害も加わり、施設再開を一時は諦めた。木村さんは支配人の肩書のまま、いわき市内の関連会社に移った。
 しかし、常連は太平洋の大海原を望みゆったりと温泉に漬かる癒やし空間の復活を待ち望んでいた。「また、お湯に入りたい」「再オープンが待ち遠しい」との声が次々、届く。もどかしさだけが募っていた今年3月、会社幹部から声が掛かった。「温泉をもう1度、始める。職場に戻ってほしい」
 施設の復旧工事は4月に始まった。風呂場にお湯を張れるようになるなど、現在は9割方完成した。温泉として再び認可を受けるため、成分分析を進めている。薬湯、ジェット風呂、水風呂など9種類の湯を用意する。
 四倉町商店会連合会とともに検討している周遊バスは、施設の利用客を商店街に運び、地元ににぎわいを呼ぶのが狙いだ。
 再開を前に、約60人の従業員が戻ってきた。懐かしい顔と声に囲まれていると、夢を見ているようだ。そして、明日への意欲がみなぎる。「震災から再開まで時間はかかった。今後は、みんなと一緒になって、元気な四倉を必ず復活させる」

カテゴリー:連載・再起

復旧工事が進むいわき蟹洗温泉

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