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きょうからいわきで準備 学校再開 双葉の光に 役場移転契機に「一歩」

郡山市での最後の業務に当たる荒木さん(右)と松本さん=28日

■双葉中校長 荒木幸子さん 54 双葉北小校長 松本浩一さん 53

 東京電力福島第一原発事故で全町避難している双葉町の双葉中校長・荒木幸子さん(54)と双葉北小校長・松本浩一さん(53)は郡山市の事務所を離れ、1日からいわき市の町いわき事務所で学校再開に向けた準備を始める。町内には小学校2校と中学校1校があるが、双葉郡の町村で唯一、自前の学校が再開していない。「教育の復興に全力で取り組みたい」。郡山市を拠点に県内外に散り散りになった児童生徒の心のケアなどに当たってきた2人は、町役場機能の県内移転を契機に一歩を踏み出す。
 荒木さんと松本さんは28日、原発事故後、郡山市総合教育支援センターの1室を提供してくれた郡山市教委などへのあいさつ回りに追われた。
 1日からは、いわき市東田町の町いわき事務所に勤める。既に市内に勤務している双葉南小校長・日野俊隆さんらと共に、保護者や児童生徒の意向を確認しながら、学校再開に必要な物資や運営方法などについて検討する。「学校再開に向けて大きな一歩」。荒木さんと松本さんは声をそろえた。
 町内には双葉南、双葉北の小学校2校、双葉中の中学校1校がある。各校とも原発事故後、臨時休校が続いている。町によると、原発事故による避難がなければ、4月時点で小学生348人、中学生166人が通っているはずだった。現在、全員が県内外の小中学校に通い、約半数は県外の学校に在学している。
 3校に所属していた教員約30人は学校再開まで、派遣や兼務教員として埼玉県の騎西小・中や県内各地の小中学校で教えている。
 荒木さんと松本さんは平成24年4月に各校の校長として郡山市総合教育支援センターに着任した。町の児童生徒が通う県内の学校から「双葉町の子どもが避難先の学校になじめず、登校していない」などの連絡があると相談に駆け付けた。県外から県内の高校に進学したいと保護者から相談があれば手続きなどを説明した。荒木さんは「子どもの状況把握と後押しが主な業務だった」と振り返った。
 2人が勤務していたセンターの1室は原発事故後の23年5月、郡山市教委から避難地域の小中学校に貸し出された。一時は双葉町の他、南相馬市、楢葉町、浪江町などの教員5人が勤務し、センターを拠点に県内外に避難する子どもたちの心のケアなどに奔走した。各市町村が学校を再開させるたびにセンターから教員が去り、今年4月には2人だけとなった。「授業も給食も入学式も運動会もできない」。子どもたちと向き合うことができないもどかしさを絶えず感じていた。
 町はコミュニティーの象徴として町の小中学校を再開させたい考えだ。具体的な場所などはまだ決まっていないが、いわき市内を中心に検討が進められるとみられる。
 「再開できたとしても、どれだけの子どもが戻ってきてくれるのか」。2人には不安もある。それでも「学校再開は町復興のシンボルになるはず。避難を続けている町民の希望になれるように取り組みたい」と言葉に力を込めた。

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