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【県県北浄化センター汚泥】 減容化施設宙に浮く 搬出先なく住民反発 1年半程度で満杯

県県北浄化センターで下水汚泥を保管しているテント。センター外への一部搬出が始まったが、現在も汚泥は増え続けている=6月

 東京電力福島第一原発事故による下水汚泥問題で、国見町の県県北浄化センターの減容化施設建設が宙に浮いている。県は来年4月に稼働させる計画だった。減容化後の搬出先が決まっていないため、住民が反対している。建設工事は入札のめどさえ立っていない。センターには原発事故後、放射性物質混入を理由に搬出できず、大量の汚泥が保管されている。搬出できない汚泥は現在も増え続けており、1年半程度でセンターの容量を超える懸念がある。

■入札できない
 県県北浄化センター敷地内には現在、汚泥約2万5000トンがテント内で保管されている。放射性物質への懸念から、従来の建設資材への再利用や処分場への搬入ができなくなった。
 毎日、発生する下水汚泥。県は乾燥させることによって、容量を減らす対策を迫られた。減容化施設は、県から建設を委託された日本下水道事業団が昨年11月、建設工事の入札を公告した。しかし、地元住民は反対の声を上げた。今年3月、県は入札を取りやめるしかなかった。
 県は乾燥処理時の放射性物質の飛散防止対策を強化し、速やかに再公告するシナリオを描いた。しかし、減容化施設の建設自体に反対する住民の理解は得られない。県は発注から完成まで約13カ月は必要とみており、平成25年度中の完成は不可能となった。
 「引き続き住民の理解を得られるよう努める」。県土木部の担当者は早期の入札を目指す考えを強調するが、減容化施設建設に向けた県と住民の話し合いは平行線のままだ。
 県は開会中の6月定例県議会に、今年度当初予算に計上した整備事業費約48億円を来年度予算に繰り越す議案を提出した。

■見通しを示せ
 「施設が建設されれば、乾燥汚泥がずっとセンター内にとどまる恐れがある」。地元住民らでつくる「環境を守る会」の佐藤三郎会長(77)は建設反対の理由を説明する。
 現段階で乾燥処理をした後の汚泥の引取先は見つかっていない。住民には、減容化によってセンター内に汚泥を置きやすくなり、保管され続けるのではないかとの懸念がくすぶる。減容化で放射性物質の濃度が高まり、搬出先を一層見つけにくくなることを指摘する人もいる。
 地元の反発の背景には県への不信感もある。平成8年に供用開始したセンターの建設時、県は建設に反対する住民に「下水処理後の汚泥は速やかにセンター外に搬出する」と説明して理解を求めた。しかし、原発事故後、汚泥は放射性物質への懸念から再利用ができないようになり、保管は長期化している。
 国見町の太田久雄町長は「町は繰り返し、汚泥のセンター外への搬出を求めてきた。減容化施設建設は乾燥汚泥の搬出先確保の見通しを示せないうちは断固反対だ」と訴える。町議会も同様の姿勢を示している。

■1日約10トン
 原発事故から2年3カ月余が経過し、県北浄化センターで発生する汚泥の放射性セシウム濃度は雨天時以外、1キロ当たり120~130ベクレル程度にとどまっている。肥料の原料にも使える基準値(1キロ当たり200ベクレル以下)の汚泥が大部分を占める。このため今年1月以降は新たに発生する汚泥のセンター外搬出が始まった。1日に発生する約40~50トンのうち、8割程度は県内外の肥料会社や中間処理業者に引き受けてもらっている。それでも、1日当たり10トン程度、1カ月で300トン程度の汚泥をセンター内に新たに抱え込むことになる。敷地内の保管容量は約3万トンで、計算上は1年半程度で満杯になる。
 県は新たに出る汚泥全ての搬出を目指すとともに、乾燥させた汚泥の搬出先確保に全力を挙げている。

■郡山など3市にも
 県北浄化センター以外の県の下水処理施設では、県中浄化センター(郡山市)が汚泥約2万5000トンを保管している。1日約90トン出る汚泥のうち、約80トンを30分の1に減容化している。原発事故後、センター外への搬出はなく、保管場所の拡張などで対応する。
 あだたら清流センター(二本松市)は約1600トン、大滝根水環境センター(田村市)は約190トンを保管している。現在は新たに発生する汚泥のほぼ全量がセンター外に搬出されている。

■背景
 県県北浄化センターの下水汚泥を乾燥させる減容化施設建設に向け、県は昨年10月、日本下水道事業団と委託協定を結んだ。汚泥を5分の1に減容化できる施設を平成25年度末までに完成させる予定だった。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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