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農業再生に自信 福島の果樹農家大友さん ベラルーシ訪問で

ブラーギンの農場で放射性物質対策の取り組みを確認する大友さん(中央)

 【ベラルーシで鈴木仁記者】福島市の視察交流事業派遣団員として、ベラルーシを訪れている同市上名倉の農業大友伸夫さん(51)は24日、東京電力福島第一原発事故からの農業再生に自信を深めた。チェルノブイリ原発事故で被災した現地では、厳しい検査を重ね、長い時間をかけて消費者と生産者で信頼が築かれていた。「一歩ずつでもいい。前に進む努力が必要だ」。視察結果を生かし、消費者の信頼を取り戻す決意を新たにした。
 大友さんは24日、ブラーギン地区の農場を視察した。昭和61(1986)年に事故が起きた旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発から約80キロに位置する。土壌の放射性物資の濃度を下げる対策や、農産物の放射性物質の検査が徹底されていた。「自分たちが頑張らなければ、この地は今ごろ荒れ果てていたはずだ」。現地の農家の言葉が胸に重く響いた。
 21日に訪れた首都ミンスクの食品市場「カマロフスキー市場」は新鮮な肉類や野菜、果物などを次々と買い求める住民でにぎわっていた。「消費者が不安を抱いていない」。生産者と消費者との信頼関係を肌で感じ取った。
 隣接する国営研究所(ラボ)で法律に基づく厳しい検査が続けられていた。放射性物質の基準値以下の農産物に証明書を発行し、「安全」が確認された食品のみを市場で販売する。結果は全て公開されていた。高品質な農産物を作り、厳しい検査をすれば、消費者の理解は必ず得られると確信した。
 大友さんは「命を育む食を生み出す仕事」に魅力を感じ、17年前に会社員から専業農家に転身した。サクランボやモモ、リンゴなどを栽培し着実に収益を伸ばした。手応えを感じ始めた矢先に東京電力福島第一原発事故が起きた。風評被害が広がり販売先は激減した。
 地域農業の存続に危機感を抱き、平成24年、有志3人とともに農業生産法人「オブリガード」を設立した。規模を拡大して生産基盤を強化し、遊休農地などにサクランボの苗木を植えた。農産物の加工製品作りも検討し、26年から活動を本格化させる考えだ。
 今回の視察で、原発事故を経ても、しっかりと農業が受け継がれている現状を自分の目で確認できた。「福島の農業は大丈夫だ」。これまで以上に農業再生への意欲が高まるのを感じた。

カテゴリー:福島第一原発事故

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