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【流通】 市場の農産物全て検査 消費者と信頼関係築く

平日で1日平均5万人が食品を買い求めるカマロフスキー市場。全ての品目が放射性物質検査を受けている

 ベラルーシの首都ミンスクにある国営「カマロフスキー市場」。大通りに立地する広大な売り場に、新鮮な肉類や野菜、果物が並ぶ。1日平均5万人、休日には15万人が利用する首都最大の食品流通拠点だ。「消費者と信頼関係が構築されている」。トマシェヴィチ・リュドミラ副社長の表情には自信がみなぎる。
 面積は約3万平方メートルで、東京ドームの6割超。屋内施設と屋外に、農場や企業による約2000の食品売り場が並ぶ。市場には国営研究所(ラボ)が併設されている。運び込まれる農産物は原則として全て、チェルノブイリ原発事故を受け定められた法律に基づく放射性物質検査を受ける。販売する全品目が基準値以下と確認された場合のみ、産地や測定値を明記した認定書が販売者に交付され、売り場での営業が許可される。研究所は検査結果を地元新聞などに発表し、住民に伝えている。
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 放射性物質を取り込みやすいとされるキノコ類やベリー類、イノシシ肉など一部の食品を除き、過去10年間で基準値を超えたケースは確認されていない。原発事故から27年が経過し、放射性セシウムが減少していることが大きな要因とみられている。福島市視察交流事業派遣団の測定では市場の空間放射線量は毎時0.061マイクロシーベルトだった。検査を継続しているのは「安全な物しか販売していない」ことをアピールし続けるためだ。
 リュドミラ副社長は「検査を続けることが、消費者の安心につながっている。だから市場の食品に不安を持たれることはない」と強調する。
 団員の市食生活改善推進員協議会生活環境部長の阿部洋子さん(63)は「事故から時間が経過しているにもかかわらず、地道に検査を継続していることに感銘を受けた。本県でも参考にすべきだ」と述べた。(本社報道部・鈴木仁)


■27年後も厳格さ維持
 キャベツの芯はくりぬかれ、トマトのへたは取り除かれる。食べる状態にしてから測定する。食べた場合に体内に取り込まれる放射性物質を正確に把握するためだ。ベラルーシの首都ミンスク。「カマロフスキー市場」に併設された国営研究所(ラボ)の検査員は慎重に放射性物質の検査機器を操作していた。
 市場はチェルノブイリ原発事故から27年が過ぎても、厳格な検査体制を維持する。活気に満ちた売り場には、地元農産物に対する消費者の信頼感が漂う。
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 「食に関するあらゆるものを測定する。安全な食品だけが流通する仕組みだ」。ウクライナ国家家畜・植物衛生局の担当者は、生産段階の土壌や飼料、加工前の原料、市場で売る農産物に対する厳しい検査体制を力説した。
 ウクライナの首都キエフには43の市場があり、全てに国の研究所が併設されている。ベラルーシ同様、原則として販売する全食品の放射性物質検査を実施し、認定書を発行する。
 農産物が市場に集まるベラルーシやウクライナと異なり、本県ではJAなど農業関係団体への出荷のほか、個人販売もあり流通形態は多様だ。主食のコメに関しては全袋検査を導入しているが、野菜や果物などは県が出荷段階で「市町村または旧市町村単位で三検体以上」を抽出して測定しているのが実情だ。農家や団体が出荷、販売する際に自主検査で安全性を確認しても、行政の「お墨付き」は得られない。
 団員からはベラルーシ、ウクライナの両国の国主導による検査体制を評価する声が出た。団員の農業大友伸夫さん(51)は「国や県が検査基準をしっかりと定め、農家の行う調査の結果を認証する制度を構築してほしい」と求めた。

※ベラルーシ
 旧ソ連から1991年に独立した。ロシア、ウクライナ、ポーランドなどと隣接している。首都はミンスク。国土面積は約20万7600平方キロメートルで、日本の半分程度。人口は約941万人。主要産業は工業、商業、農林畜産業など。1986年のチェルノブイリ原発事故で飛散した放射性物質により農地などが被害を受けた。

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