東日本大震災

  • Check

古里元気になって みちのく丸、小名浜入港 来場者が横断幕に願い記す

復興への願いを横断幕に書く鈴木さん(左)

 1日も早く古里が元気になりますように-。いわき市の小名浜港に千石船の復元船「みちのく丸」が入港した31日、来場者は1枚の横断幕に、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興を願う思いを書き留めた。津波で休業中の民宿経営者、震災後に父を亡くした会社員の女性...。江戸時代後期から明治時代初期に海運の主力を担った千石船の雄姿に、誰もが明日に歩みだす勇気をもらった。
 いわき市平豊間の鈴木利明さん(72)は「一日一日復興できるように」と、一文字ずつ丁寧につづった。
 震災の津波で経営していた民宿は全壊、再開の見通しは今なお立たない。震災から2年4カ月以上が過ぎても、復興を実感できないのが本音だ。小名浜高卒業後、17年間にわたって捕鯨船やサケ・マス漁の母船に乗船し、太平洋を航海した。帆を張って航行するみちのく丸を目にして元気が湧いた。「少しずつでも前に進んでいければいい」。船が語り掛けているような気がした。
 同市小名浜の会社員田村志津子さん(60)は万感の思いを込めて「希望を」と一言だけ書いた。父・柏保さん=当時(85)=は昨年6月に亡くなった。震災後の急激な環境の変化が原因の「震災関連死」だった。肉親を震災で亡くした悲しみを経験したからこそ、「未来を担う子どもたちには希望を持って歩んでほしい」と願う。「復興へ向かう姿の象徴です」と、船体をまぶしげに見詰めた。
 同市・泉小4年の山本加奈子さん(9つ)は「みちのく丸 みんなに希望を持っていってください」と、しっかりした字で記した。「震災の後、みんなあまり笑わなくなった気がする。船に笑顔を運んでほしい」と願った。
 横断幕は縦約1メートル、横約12メートル。青森、岩手、宮城各県の寄港地で書かれたメッセージに、本県の県民の願いも加わった。東京・有明埠頭(ふとう)に入港する5日に復興庁に届け、被災地の思いを伝える。

■あす午後出港5日東京到着

 みちのく丸は19日に青森市の青森港を出港し、岩手、宮城各県を巡ってきた。2日午後に小名浜港を出港し、5日に東京・有明埠頭に到着。その後、北上し11日に青森港に戻る予定だ。
 JR東京駅ではみちのく丸の巡航に合わせ、6日から9日まで、いわき市をはじめ各寄港地の物産展が開催される。

東日本大震災の最新記事

>> 一覧