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【消費】学校で放射線測定学習 食品摂取の判断力養う

農産物の放射性物質検査を行う中等学校の生徒。子どもたちは自ら測定し、食品の安全性を判断する力を養う

 ベラルーシ・ゴメリ州ホイニキ地区のストレリチェヴォ中等学校内にある放射線文化センター。室内には放射性物質の検査に使う機器類が並ぶ。子どもたちが「これから食品に含まれる放射性物質を調べます。この機械では5分間で測定できます」と説明し、慣れた手つきで放射性物質の測定装置のスイッチを押した。
 子どもたちは教育現場で測定方法を学び、放射性物質に関する正しい知識を身に付ける。国の「賢い消費者」養成の第一歩だ。
 ベラルーシ、ウクライナに甚大な被害を及ぼしたチェルノブイリ原発事故から27年。ホイニキ地区は立ち入りが制限されている30キロ圏近くに位置し、今も土壌から放射性物質が検出されている。住民が安全な食料を口にするには、自主的に摂取の是非を判断する力が欠かせない、と国は判断。事故後、地区内の学校など6カ所に放射線文化センターを設けた。
 中等学校内のセンターでは、生徒が放課後の補講やクラブ活動などで放射性物質に理解を深める。検査機器の使用方法、国が定めた基準値などを学び、自ら農産物を測定する。住民が持ち込んだ食品を生徒が調べることもある。昨年は140検体を調べ、7%が基準値を超えたという。
 積み重ねた検査データを基に、分析にも取り組む。食品に含まれる放射性セシウムが減少傾向にあることも確認した。地区執行委員会のチェルニャフスカヤ・ジャンナ副委員長は「ここで生きていくため、何を食べるべきかを子どもの時から学ぶ必要がある」と意義を強調する。
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 ホイニキ地区には広大な農地が広がる。市場に流通する農産物は国の検査場で厳しいチェックを受けるが、自家消費野菜などは住民が自ら安全性を判断する必要がある。
 「事故当初は情報が得られず怖かった。でも今は、どの作物なら安心して食べられるか知っている」。地区内で開かれた住民と派遣団員の意見交換会。子どものうちから放射性物質や健康管理の対策を学んできた住民の言葉に、この土地で暮らすことへの自信がにじむ。
 東京電力福島第一原発事故で被災した本県は、住民の自家消費野菜を検査する測定機器を全市町村の公共施設などに配備した。持ち込まれた農産物を職員が測定している。
 平成24年度は約20万件を調べた。小中学校や高校では放射線教育が行われている。ただ効果的な教育手法、自ら測定し安全性を確認する能力の育成などについては、手探りが続く。
 派遣団長の佐藤俊市郎市教育長(64)は「福島の放射線教育は始まったばかり。実践的で充実した取り組みに向けて検討を続けなければならない」と語る。(本社報道部・鈴木仁)

※ウクライナ
 旧ソ連崩壊に伴い1991年に独立した。ロシア、ベラルーシなどと隣接している。首都はキエフ。国土面積は60万3700平方キロで、日本の約1・6倍。人口は約4500万人。主要産業は鉱工業、農林水産業、建設業など。1986年に発生したチェルノブイリ原発事故で農地などが被害を受けた。


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