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知事「極めて遺憾」タンク汚染水漏れで原因究明求める

東電に申し入れをする古市次長(右)

 東京電力福島第一原発の地上タンクから約300トンの汚染水が漏れた問題を受け、県は20日、県庁で緊急の原子力関係部長会議を開いた。佐藤雄平知事は度重なる汚染水トラブルに「極めて遺憾だ。(これまでの申し入れを)真摯(しんし)に受け止めているか疑いたくなる」と憤った。
 会議では冒頭、渡辺仁原子力安全対策課長が今回の汚染水漏れ問題の概要を説明。畠利行農林水産部長は「このままでは漁業関係者が試験操業を開始できない」と漁業への影響を懸念した。
 佐藤知事は「何度も徹底したリスク管理を申し入れているはずなのに極めて遺憾だ」と語気を強めた。同時に「汚染水の対策は国が責任を持ってやってほしい」と求めた。
 会議に先立ち、県は東電に早急な原因究明と漏えい防止対策の実施などを申し入れた。古市正二生活環境部次長が東電福島復興本社の高原一嘉福島広報部長を県庁に呼び、(1)原因究明と漏えい防止、再発防止対策の早期実施(2)再発防止対策の他のタンクへの水平展開(3)漏えい監視の強化と周辺環境への影響の調査-の3項目を求めた。
 敷地内の免震重要棟前のダストモニターで19日、警報が発生したことに対しても、原因の早期究明と作業員の被ばく防止の徹底を申し入れた。

■副知事監視体制の甘さ批判

 関係部長会議で村田文雄副知事は東電が19日に汚染水の漏れた量を約120リットルと発表しながら、翌日になって約300トンと修正した点を指摘し、発見時に事実関係を把握できなかった東電の監視体制の甘さを批判した。
 村田副知事は「時間がたつにつれて(漏えい量が増え)深刻さが増していく。東電にはしっかりとしたチェックをお願いしたい」と強く求めた。
 東電は漏えいの量を約120リットルと発表したことについて、「当初は水たまりの状況などから量を推計したが、翌日にタンクの水位を調べることでさらに大量の漏えいを確認したため修正した」としている。

■首長国、前面に立つべき

 原発事故で避難を強いられている自治体の首長からは国の責任ある対応を求める声が相次いだ。
 大熊町の渡辺利綱町長は「汚染水の問題は一向に解消されないばかりか新たな問題が次々発覚している。国が前面に立って解決に向けて取り組んでほしい」と東電任せの国の姿勢をただした。双葉町の伊沢史朗町長は「汚染水の問題は極めて深刻。劣化の恐れが懸念されていたのだから国と東電は漏えいの原因をしっかり確認し、抜本的な対策をしてほしい」と強く求めた。富岡町の宮本皓一町長は「事故収束が復興への大きな課題。汚染水問題が続けば町民の帰還意識に影響を及ぼす。東電はじめ、国も管理体制を抜本的に考え直すべきだ」と語気を強めた。浪江町の渡辺文星副町長は「収束作業を東電だけに任せてはいけない。国が全ての事象に対して責任を持って対応してほしい」と要望した。

■避難住民「古里遠くなる」

 原発事故で避難生活を送っている双葉郡の住民から驚きと怒りの声が上がった。双葉町から西郷村の借り上げ住宅に避難している松木清隆さん(58)は「これからも汚染水漏れが起きる危険性は高いのではないか。万全な対策を講じ、何とかして地中への浸透を食い止めてもらいたい」と訴えた。富岡町から郡山市の仮設住宅に避難している河村房男さん(82)は「東京電力は考え方が甘い。きちんと確認をしていないからだ」と批判した。その上で「考え方を改めない限り、問題は今後も起きてしまう」と対応の改善を求めた。
 「またか。古里が遠くなる」。福島市の仮設住宅で暮らしている浪江町の新妻久美さん(58)は肩を落とした。トラブルが起きるたびに原発事故はまだ収束していないと実感する。早く自宅に帰りたいと思っているが、帰還には事故の収束が大前提だ。「地下水への影響はないのか」と不安を口にした。

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