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タンク汚染水漏れ過去最大300トン 第一原発 高濃度8000万ベクレル検出

 東京電力福島第一原発の地上タンク周辺で汚染水の水たまりが見つかった問題で、東電は20日、タンクからの漏えいを認めた上で、漏えい量が約300トンに上るとの見解を示した。漏えいした汚染水から、ストロンチウム90(法定基準は1リットル当たり30ベクレル)などベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり8000万ベクレルと極めて高濃度で検出された。タンクからの漏えいは5回目で、漏れた量は過去最大となる。
 東電によると、漏れたのは護岸から約500メートル離れた26基のタンク群の一つ。タンクは直径12メートル、高さ11メートルの円柱状で、容量は千トン。汚染水を移送した当初はほぼ満水だったが、作業員が20日午前に確認したところ、水位が2.9メートル下がっていた。
 タンクには原子炉冷却に使われ、多核種除去設備(ALPS)や汚染水浄化装置「サリー」などで取り除いたセシウムやストロンチウムを含む高濃度の汚染水を貯蔵していた。漏えい箇所は依然、不明。漏えいした水のうち、タンク群に設けられたせきの内側にたまっていた約4トンは回収したが、残りは土壌に染み込んだ可能性が高い。
 東電は、漏えいは止まっていないが、「タンク近くの側溝の放射性物質濃度が高くない。海への流出はない」との見方を示している。
 このタンク周辺では19日午前、見回り中の東電社員が水たまりを発見。水たまりの真上約50センチで最大毎時100ミリシーベルトと高線量を計測し、水たまりの大きさなどから汚染水の量を少なくとも120リットルと推定していた。100ミリシーベルトは、その場にとどまると原発作業員の年間被ばく上限に30分で達する線量。
 ベータ線を出す放射性物質のうち、ストロンチウム90は半減期が約29年。体内に入ると骨に蓄積し、放射線を出し続けて骨のがんや白血病を引き起こす恐れがある。
 第一原発敷地内では汚染水を貯蔵するための地上タンクを増設し続けているが、漏えいが相次いでいる。原子力規制委はタンクの溶接式への切り替えを含め汚染水保管の信頼性を向上させるよう求めていた。

■長期間漏えいか東電示唆

 東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は20日の記者会見で「一夜にして300トン漏れたとは考えにくい」と述べ、長期間にわたり漏えいしていた可能性を示唆した。
 漏えいしたタンクは溶接ではなくボルトで部材をつなぎ合わせる構造で、接ぎ目の劣化が以前から指摘されていた。同様のタイプは約350基あり、漏えいが起きていないか確認を急いでいる。
 さらに、漏れた汚染水は土壌に染み込んだ可能性が高いとみて、現場周辺の詳細なモニタリング調査を行い、影響範囲を特定する。
 タンク下に設けている鉄筋コンクリート製のせきの排水弁を常時開放していたことも明らかにした。雨水をためないためだが、この管理方法が汚染水の漏えいにつながったとの見方も否定できないという。
 東電は漏えいが起きたタンク内に残った汚染水を別のタンクに移送するほか、周囲を土のうで補強するなど汚染拡大の防止対策を進めている。
 汚染水が染み込んだ土壌の回収も始めており、降雨で汚染が拡大しないよう防水シートを敷くなどの対策も取った。


※福島第一原発の汚染水 東京電力は炉心溶融した福島第一原発1~3号機の核燃料を冷やすため原子炉に水を注入している。その水が放射性物質を含む汚染水になり、原子炉建屋地下などにたまっている。建屋には1日約400トンの地下水が流入し、新たな汚染水となり増え続けている。東電は建屋地下の汚染水を回収して放射性セシウムや塩分を取り除き、再び冷却に使っており、残った水は地上タンクに貯蔵している。

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