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心の悩み深刻 県外避難長期化 孤立、生活苦...疾病の恐れ

 東京電力福島第一原発事故から2年5カ月が経過し、県外避難者が心の悩みを抱え疾病にかかる深刻な事例も起きている。家族と離れ1人で生活し、孤立化していることなどが背景にあるとみられる。県は10月、避難者の多い山形、新潟、東京3都県に常設の相談窓口を開設する。地元の臨床心理士会などに事業を委託し、臨床心理士らが応対する。他の地域でも順次、開設する方針だが、避難者は本県を除く46都道府県におり、全国でどのように相談支援態勢を築くかが課題となる。

■県、3都県に相談窓口10月開設

 県は平成24年4月に開設した「ふくしま心のケアセンター」で、避難者から生活全般について相談を受け付けている。県外からの電話も受けているが、不眠や不安を訴えるケースが大半を占める。うつ病を発症したり、アルコール依存症になったりする人もいるという。生活の場所が変わったことを苦痛に感じている避難者も多い。生活費についての相談も増えている。他県での避難生活が長期化し、自宅との往復などで金銭面の負担が増していることが心の重荷になっているとみられる。
 避難区域が設定された県内13市町村の住民を対象にした県の「こころの健康度・生活習慣に関する調査」(24年度)では、回答者6万6014人のうち4677人(約7%)が「心理的なストレスからの支援が必要」と判定された。こうした状況を踏まえて、県は県外避難者に対する「心のケア」態勢を充実させる。
 山形(7月4日現在・避難者約8200人)、東京(同約7300人)、新潟(同約5000人)の各都県の臨床心理士会、看護協会、精神保健福祉協会などに相談事業を受託してもらうことで合意した。各都県と、行政関係の庁舎など1、2カ所程度に窓口を設ける案で最終調整している。
 山形県では避難者が多い米沢市や山形市などに設置する方向。臨床心理士らが窓口に交代で在駐し、訪れた県民に対応する。電話での相談も受け付ける。症状が深刻な場合には精神医らを紹介する。県外避難者には県のホームページ、広報紙などで窓口開設を周知する。
 県は千葉(同3400人)、埼玉(同約3200人)両県とも事業実施に向け協議を始めた。
 ただ、避難者の居住地は、各都道府県内でもさまざまだ。さらに、避難生活が長引けば、ストレスが悪化するケースも想定される。民生委員らによる県外の借り上げ住宅の訪問などで、より手厚く支援することも必要となる。
 福島医大に10月、開設される「災害こころの医学講座」教授に就任する久留米大医学部神経精神医学講座の前田正治准教授(53)は「避難が長期化すれば、相談態勢の拡充や相談員の育成などがますます重要になる」と指摘している。
 郡山市から長男(11)と横浜市に避難している主婦富塚千秋さん(41)は「避難生活が長引き、悩みが常に付きまとう。きめ細かな手助けが必要」と訴えている。

■県外避難者5万3277人

 自主避難も含めた県外への避難者数(7月4日現在)は5万3277人で、都道府県別は【表】の通り。最も多いのは山形県、次いで東京都、新潟県の順となっている。
 避難者数は昨年3月8日現在の6万2831人をピークに、減少傾向にある。県は、除染が各地で始まったことや避難の長期化で経済的負担が増していることなどが、避難者の県内に戻る要因とみている。

カテゴリー:福島第一原発事故

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