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放射線 放射性物質 Q&A 母親の被ばくで胎児への影響は

 母親のおなかの中で被ばくをした原爆被爆者の中で病気が増えたケースはあるのでしょうか? 東京電力福島第一原発事故の影響で今後、県内で生まれてくる子どもに障害が出るのではないかと、不安に思っています。

【回答者】県放射線健康リスク管理アドバイザー長崎大教授 高村昇さん

■原爆の高線量被ばくで障害確認 福島の原発事故では考えにくい

 原爆被爆者の中で、母親のおなかの中で被爆された方を胎内被爆者といいます。胎内被爆者については、その後の調査で小頭症(しょうとうしょう)と呼ばれる疾患が増加したことが確認されました。小頭症とは、同じ年齢の子どもに比べて頭囲が著しく小さい病気で、それによって精神発達や発育の遅れが見られます。
 これまでの広島、長崎原爆の胎内被爆者を対象にした調査では、妊娠8~15週では300ミリグレイ以上、妊娠16週以降では500~700ミリグレイ以上の胎内被ばくで重度の精神発達遅延が起こり得ることが確認されています。さらに1000ミリグレイ以上の胎内被ばくでは、18歳に到達時に3~4%の成長障害が発生するという結果が出ています。
 一方で、これらの線量を下回る線量を被ばくした胎内被爆者の中では、小頭症の増加は証明されていません。このような事実を踏まえ、国際放射線防護委員会(ICRP)は、「胎児への100ミリグレイ未満の被ばく線量は、妊娠中絶の理由と考えるべきではない」という勧告を出しています。
 福島県内で原発事故直後から現在に至るまで、100ミリグレイを超えるような被ばくの可能性がある胎児はいません。このため、原爆での胎内被爆者のように、県内で小頭症が増加するとは考えにくい状況です。安心して妊娠、出産に臨んでいただきたいと思います。

※ミリグレイ
 放射線の吸収線量。放射性ヨウ素や放射性セシウムが出す放射線(ベータ線、ガンマ線)の場合、1ミリグレイは1ミリシーベルトとなる。

カテゴリー:放射線・放射性物質Q&A

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