東日本大震災

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津波防ぐ鎮魂の林に 南相馬で3年ぶり植樹祭、来月6日

震災がれきを利用して造成された堤体。10月6日に植樹祭が行われる=南相馬市鹿島区南右田

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で中断していた南相馬市の植樹祭が10月6日、津波犠牲者の鎮魂と復興への思いを込め3年ぶりに復活する。市内の震災がれきを埋め立てて造成した右田浜キャンプ場跡の堤体が舞台。市民と全国からのボランティア計2千人が、16種2万本の広葉樹を植える。20年後には高さ5メートルほどに成長し、地域を津波から守る防災林となる。市は震災の記憶、命の尊さを伝えるシンボルとして管理する。

■がれきの堤体に2万本 市民、全国有志2000人協力
 植樹祭の会場は、津波で流失した右田浜キャンプ場跡に造られた長さ100メートル、幅50メートル、高さ2.5メートルの堤体。海岸から約200メートルの市有地にある。復興需要に伴い不足している土砂に代わり、盛り土には津波により同市鹿島区で発生したコンクリート片や堆積土などのがれきが使われた。
 付近の南右田行政区では津波で70戸全てが流され、54人が犠牲となった。市は災害廃棄物で造成された堤体の上に防災林を築くことで、震災の体験を風化させず次代につなげたいと企画した。
 当日は、市民と全国から募集したボランティア合わせて約2000人が参加する予定だ。タブノキやシラカシ、アカガシ、スダジイなど16種の苗木を1人当たり10本程度植える。いずれも、同市の沿岸部などに植生していた広葉樹で、風土に適していることから強く根を張ると見込まれる。
 長年、市内で植生調査などを行ってきた植物生態学の世界的権威、宮脇昭横浜国立大名誉教授(85)が植え方を指導する。
 植樹祭を共催する公益財団法人「瓦礫(がれき)を活かす森の長城プロジェクト」と、協賛のNPO法人「森びとプロジェクト委員会」が苗木の多くを市に寄付した。
 市生活環境課によると、植樹から20年後には高さ5メートルほどの木々が生い茂る防災林が完成する。県は堤体の海側に海岸防災林を造成する計画で、二つの「杜(もり)」が付近の集落を津波から守る。
 市は旧原町市時代の平成7年から震災の前年まで毎年、市民植樹祭を催し、各地に合わせて約4万本の木を植えてきた。震災後の混乱で中断していたが、津波による被害を二度と繰り返さないため、今後は沿岸部を中心に実施していく。
 桜井勝延市長は「震災がれきを土台にした堤体に植樹することで、3・11のつらい経験を忘れず復興への願いを込めた場所にしたい」と話している。
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 植樹祭の参加希望者は10月6日までに市生活環境課に申し込む。当日は軍手や移植ゴテなどを持参する。申し込み、問い合わせは同課 電話0244(24)5231へ。
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■県は沿岸部14キロ防災林整備予定
 県は南相馬市沿岸部の延長約14キロにわたって、幅200メートルの海岸防災林を整備する予定だ。平成27年度から本格的な造成工事に入り、32年度内の完成を目指す。
 現在、全体計画を策定するため、用地調査を進めている。今後は、防災集団移転事業などの進捗(しんちょく)に合わせて、用地買収を始める。

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