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多核種除去あす再開 規制委、漏えい対策「有効」第一原発汚染水

 東京電力福島第一原発の汚染水処理で、東電はタンクの腐食による漏えいで試運転を中止している多核種除去設備(ALPS)の試運転を27日に再開する。原子力規制委員会が25日、漏えい対策について「おおむね有効」と評価したことを受け、判断した。試運転が順調に進めば1日500トンの汚染水を浄化する本格運転に移行する方針。ただ、浄化後も残る放射性物質のトリチウムの除去については技術開発の見通しは立っていない。

 東電の相沢善吾副社長は25日、楢葉町の福島復興本社で記者会見し、「(規制委の評価を受け)ALPSの稼働にめどが立ち、27日から運転する」と発表した。さらに「現時点ではALPSを使うことが迅速かつ確実という結論に達した」と汚染水処理が進むことへの期待感を示した。
 試運転はALPSの3系統ある処理ラインのうち、漏えい防止の改修を進めてきた1系統から開始する。残る2系統は10月中旬と11月中旬に順次、始動させる。順調に進めば、常時2系統(1系統で250トン処理)での本格運転に移る。時期は試運転の状況を見て判断するという。
 原子力規制委は25日の定例会合で、事務局の原子力規制庁がまとめた「(ALPSの改修は)現時点の知見に照らせばおおむね有効であると考える」との調査結果について協議した。田中俊一委員長(福島市出身)は「動かしながら問題を克服するということで、私としては(試運転を)認める」と述べ、試運転開始を容認する考えを示した。
 東電はALPSの試運転を3月から1系統で開始し、6月に2系統に増やした。しかし、6月に汚染水に含まれる海水や処理に使う薬剤による腐食でタンクに穴が開くトラブルが発生した。順次運転を停止し、タンク内をゴムで覆い、腐食を抑える器具を設置する対策を進めてきた。

■解決の具体策見えず 除去できないトリチウム
 ALPSが再稼働することで、未処理の高濃度汚染水を保管するより危険性は低減する。しかし、タンクの貯蔵量が増え続ける状況に変わりはない。
 東電は、ALPSによる汚染水処理後の水を海洋放出することで、汚染水を減らす計画を描いている。
 しかし、現在の技術では汚染水から放射性物質のトリチウムは除去できない。このため海洋放出は、風評を警戒する地元漁業者らが難色を示しており、実現するかは不透明だ。
 政府は汚染水からトリチウムを除去する技術を国際公募するなど、英知の結集に努めている。一方で汚染水発生を抑えるため、原子炉周辺への地下水流入を防ぐ「凍土遮水壁」の整備や高性能の除去設備の開発を目指す。東電もALPSの増設を計画している。
 しかし、いずれも成果は未知数で、汚染水問題の解決に向けて具体的な道筋が見えてこないのが現状だ。

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