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今を生きる 主婦とアプリ開発 両立 「育児支援」夢へ第一歩

女性の目線を大切にアプリの制作に取り組む小舟さん

■南相馬ITコンソーシアムエンジニア 小舟真理子さん(39)

 南相馬市のITベンチャー団体「南相馬ITコンソーシアム」のエンジニア小舟真理子さん(39)は今月、団体に入ってからわずか2カ月でiPhone(アイフォーン)専用の無料アプリを開発した。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響に苦しむ相双地域で、子育てをしながら新たな夢に向けて一歩を踏み出した。
 小舟さんが開発したアプリは画面を触って子猫が欲しがる果物を与えるゲーム。プログラミングをはじめ、キャラクターデザイン、音楽の編集など全工程を1人で担った。女性ならではの感性を生かし、きめ細かな作りを心掛けた。
 相馬市出身の小舟さんは幼いころからゲームが好きだった。父親がエンジニアだったこともあり、将来はコンピューター開発やゲーム雑誌の編集に携わる夢を描いていた。
 小舟さんが中学生だった昭和63年の春、最愛の父が41歳の若さで他界した。1日も早く家族を支えようと相馬女子高(現相馬東高)卒業後、市内の精密機械製造会社に就職した。社内で知り合った一司さん(50)と結婚し、二男一女に恵まれた。
 子育てに奮闘する中、震災が発生した。原発事故を受け、一司さんが単身赴任する宮城県大崎市や大阪府に家族で避難した。子どもたちの学校再開に合わせ、平成23年4月に相馬市に戻った。
 震災後の混乱から次第に落ち着きを取り戻しつつあった今年8月、小舟さんは南相馬ITコンソーシアムの求人情報を見つけた。幼いころに憧れた仕事に就ける期待に胸を高鳴らせた。
 同団体は原子力災害の風評被害に負けないITビジネスと人材の育成を目指し、県地域雇用再生・創出モデル事業を活用して1月に設立された。代表の田中章広さん(39)は小舟さんの情熱を受け止め、採用を決めた。小舟さんは同団体が初めて提供した独自の教育プログラムを受け、アプリ制作に必要なプログラミング技術などを子育ての傍ら身に付けた。
 小舟さんは、主婦であり母親である自らの経験を生かして、子育て支援などのアプリの制作を目指す。「未経験者でも、しっかりと独り立ちができる。自分と同じような主婦も(アプリ開発を)できるはず」と前を向いた。

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