東日本大震災

「原発大国の模索 県議会 米国視察」アーカイブ

  • Check

県議会米国視察(2) 【事業者】 信頼回復「険しい道」 情報開示やミス根絶重点

蒸気を噴き上げるTMI1号機の冷却塔。右後方に廃炉となった2号機が見える

 米国ペンシルベニア州のスリーマイルアイランド(TMI)原発は、州都ハリスバーグ市に近いサスケハナ川の中州に立つ。1号機の冷却塔からは蒸気が噴き上がり、機器類の作動する音が周辺に響く。一方、2号機周囲は静寂に包まれ、同じ敷地内で対照的な光景が広がる。昭和54(1979)年の事故により廃炉となった。
 TMI原発は現在、民間の電気事業者2社が所有する。1号機は「エクセロン」、2号機は「ファースト・エネルギー・ニュークリア・オペレーティング・カンパニー(FENOC)」で、連携して1号機の運転と2号機の保守管理に当たっている。2号機の事故では、制御用機器にトラブルが発生した上、作業員が対応を誤り核燃料が溶ける事態に陥った。両社は事故の教訓を踏まえ、人的ミス根絶と住民からの信頼回復に全力を挙げている。
 1号機では現在、1日約500人が働く。トラブルの種類別に、対策を示した運転手順を設け、作業ミスをなくすため教育訓練を充実させた。原子炉の制御室には、過酷事故に対応できる特別な訓練を重ねた人員を配置する。
 さらに、住民との対話活動と情報公開を積極的に展開。地域の集会や行事にも参加し、原発の稼働状況などについて情報を発信している。
 TMI原発近くの住民は、廃炉の隣で別の原子炉が稼働することを冷静に受け止めている。事故発生時、女子大生で1週間ほど避難したというトレシ・ブランドンさん(53)は、「モニタリングを継続しているし、原子炉の稼働状況が明示されているので心配していない」と語る。
 一方、東京電力福島第一原発は汚染水漏れなどトラブルが絶えない。パイプの誤接続やタンク設置の誤りなど人的ミスが原因となることが多く、廃炉作業に県民からの信頼が得られているとは言い難い。
 FENOC幹部のロイ・ブロッシ氏は「住民からの信頼回復には、長い時間がかかった」と振り返る。福島第一原発事故後、東電に助言したこともある。「福島では今も多くの人々が影響を受けている。住民の信頼を得る道のりは険しい」と指摘した。
 TMI原発の監視を続ける市民団体「TMI・アラート」代表のエリック・エプステイン氏(52)は、電気事業者が発表する放射線量測定の結果を信用していない。自ら周辺の線量を測定し結果を公表している。「政府や事業者に対する住民の信用は、一度失われれば元に戻らない。それは、福島も同じではないのか」。(本社報道部・鈴木仁)

カテゴリー:原発大国の模索 県議会 米国視察

「原発大国の模索 県議会 米国視察」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧