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11月ギャラリー開設 帰還の町民集う場に 古里楢葉絵画で癒やし

ギャラリー開設の準備を進める猪狩さん(右)と熊坂さん

■いわきに避難 猪狩泰人さん(58)

 「避難先から戻る町民に、心の安らぎを提供したい」-。町の大半が東京電力福島第一原発事故の避難指示解除準備区域に指定された楢葉町に11月3日、地元の風景画などを展示する個人ギャラリーが開設される。いわき市に避難する広告業猪狩泰人さん(58)が、美術の分野から古里の復興を後押ししたいと自宅敷地内の事務所を改修した。お茶を飲みながら語らうスペースも設け、住民の絆を強める。
 猪狩さんのギャラリー「G.TOO(ジー・トゥー)」は町役場近くの6号国道沿いにオープンする。約100平方メートルのスペースがあり、壁は白で統一。来場者が談笑する黒のカウンターを設けた。展示する絵画を引き立たせるための配色だ。猪狩さんは細部まで自らの「夢の城」にこだわった。
 リサイクルショップなどを経営していた猪狩さんは原発事故後、各地を転々とし現在は、いわき市中央台高久の仮設住宅で暮らす。つらいことがあると、故郷・楢葉の風景を思い出して耐えてきた。大きな夢をずっと心に温めてきた。大好きな絵画を大勢の人に鑑賞してもらうギャラリー開設だ。「いずれ町民の古里への帰還が始まる。避難生活で疲れた心を絵画で癒やしてもらおう」と動いた。
 町内では昨年から国直轄除染が進み、猪狩さんの自宅は今年3月に作業が終わった。約半年をかけて改修を進め、11月のオープンにこぎ着けた。
 第1弾個展として、いわき市の熊坂行夫さん(64)=白亜美術協会運営・審査委員=の個展を開く。県内外の風景画30点を30日まで展示する。20年来の知り合いで、ギャラリーのこけら落としを飾るには最もふさわしい人物だ。熊坂さんに続き、浜通りなどの美術愛好家らの個展を相次いで開く。演奏家と住民が触れ合うミニコンサートも計画している。
 町の復興計画では、来春に帰町時期を判断する。避難指示を解除した上で、平成27年春に小中学校の再開を目指している。帰町が始まるころには、地元の人の作品を飾るつもりだ。一度は涙で離れた古里の風景―。それを描く町民のタッチは、限りなく優しく心を打つはずだと確信している。
 ギャラリーの問い合わせは猪狩さん 電話090(1936)6668へ。

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