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県議会米国視察(3) 【電力業界】 「多重構造」の安全策 「福島」の過酷事故教訓に

電力業界の対策を説明するチェツネヴィッチ氏。福島第一原発事故を受け、多重構造の緊急時対応策を整えている

 「福島の事故を受け、新たな電力用語が生まれた。『BDBEE』。原発設計レベルの範囲を超えた大災害を意味する」
 米国ペンシルベニア州のスリーマイルアイランド(TMI)原発1号機を所有する「エクセロン」の幹部ビンス・チェツネヴィッチ氏は厳しい表情を浮かべる。米国電力業界の危機管理対策を説明する口調が熱を帯びた。
 2年7カ月前に発生した東京電力福島第一原発事故で、米国の電力業界には大きな衝撃が走った。複数の原子炉が1度に過酷事故を起こすという非常事態は、これまで想像すらしていなかった。業界は電気事業者、研究機関などで対応グループを構成し、国内原発で同様の事故が起きることを想定しながら対策を検討した。
 BDBEEは大災害を表す英文の頭文字。考え方には「人為ミスを超えた外界の事象による大惨事」「複数の原子炉が1度に影響を受ける」「長時間の電力喪失」「6時間以上にわたり原発施設に接近不可能」の事象が含まれる。
 この非常事態に対応するため、業界はフレックス・プログラムと呼ばれる緊急時対応策を打ち出した。原発の施設内、施設周辺、国内2カ所の緊急対策センターのそれぞれに発電機やポンプなどの非常用機器類を設ける「3層構造」の安全対策を実現している。
 対策センターは、テネシー州メンフィス、アリゾナ州フェニックスの2カ所に設置した。移動可能な発電機などを備え、2016年までに、米国内の全原発に24時間以内に機器を緊急搬送できる態勢を整える。過酷事故に陥った原発で機器が不足しても、速やかに補充し対応できるという。機器を適切に扱える人員を養成する教育訓練も強化している。
 「福島の経験を基に、電力業界は新たな対応能力を持った」。チェツネヴィッチ氏は自信を示した。
 福島第一原発では廃炉に向けた作業が行われているが、汚染水漏れなどトラブルが頻発している。今後も重大な事故が起きないとは断言できない。原発事故の収束は見通せない状況だ。一方、日本国内の電力事業者には、停止中の原発の再稼働に向けた動きが出ている。
 ただ、東電や日本の電力業界には、米国の業界が独自に対策センターを整えたような「多重構造」の対策は見られない。米国の電力業界の説明を受けた県議は「過酷事故が自国でも起こり得ると考え、早急に対策を講じていた。東電はじめ国内の業界も危機管理をさらに強める必要がある」と指摘する。(本社報道部・鈴木仁)

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