東日本大震災

「原発大国の模索 県議会 米国視察」アーカイブ

  • Check

県議会米国視察(4) 【廃炉】 燃料取り出しに10年 作業高度な技術が必要

TMI原発の燃料取り出しの状況を語るブロッシ氏(右)

 昭和54(1979)年に事故を起こした米国ペンシルベニア州のスリーマイルアイランド(TMI)原発2号機では事故翌年から、溶けた燃料の取り出しに向けた作業が行われた。道具や技術の開発、現場での除去作業に時間がかかり、完了までに約10年を要した。
 「東京電力福島第一原発は、さらに長い時間が必要だろう」。TMI原発2号機を所有する電気事業者「ファースト・エネルギー・ニュークリア・オペレーティング・カンパニー(FENOC)」の幹部ロイ・ブロッシ氏が同原発を訪問した県議調査団に見通しを示した。
 TMI原発事故は機器故障と操作ミスが原因だった。核燃料の約3分の1が溶けて炉内で固化したが、圧力容器の損傷は免れた。燃料除去に向けた作業は当時の電気事業者が主体となって実施し、政府が費用の大部分を支出した。燃料をつかみ取るための長い棒状の道具、汚染された部品を取り出すロボットなどを導入した。開発や作業員の技術習得に約6年、実際の作業に約4年を費やした。取り出した燃料は、3800キロほど離れたアイダホ州の国立研究所に搬出した。
 事故に伴い放射性物質による汚染水が出た。当時、人体や環境に影響がないレベルにまで浄化して河川に放出することを検討した。だが、住民の反対を受け、実施に至らなかったという。汚染水の水分を蒸発させ、残った物質を固めて処分する手法が取られた。
 2号機の建屋などは現在、FENOCが保守・管理している。経済的な理由から、稼働している1号機の運転期限である2034年以降、2つを一緒に解体処分することを計画している。
 一方、福島第一原発は3つの原子炉が激しく損傷した。燃料の取り出しは、格納容器を水で満たして放射線を遮る「冠水」が前提となるが、炉が壊れたままでは困難だ。
 さらに、炉の構造上、燃料取り出しを操作する「オペフロ(オペレーティングフロア)」から溶けた燃料までの距離がTMI原発と比べ、最大で3倍ほど長いとみられる。このため、オペフロからの燃料取り出し作業は高度な技術が必要となる。たまり続ける汚染水は、最終処分の見通しが立っていない。ブロッシ氏は「ダメージが比較的少なく放射線量が低い原子炉から作業を始め、知見を蓄えるべきだ」と提言した。
 県原子力対策監を務める角山茂章氏(69)=会津大理事長兼学長=は福島第一原発の廃炉に向け、関係機関が総力を挙げて技術開発を急ぐべきだと主張する。「TMI原発事故とは要求される技術レベルが異なる。現状では、間違いなく難航する」(本社報道部・鈴木仁)

カテゴリー:原発大国の模索 県議会 米国視察

「原発大国の模索 県議会 米国視察」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧