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避難指示解除後1年 精神的賠償支払い期間 原賠審が大筋了承

 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は25日、同省で会合を開き、避難指示解除後の避難区域住民への精神的賠償などについて、支払期間は1年を目安とする案を示し大筋で了承された。中間指針では「相当期間」とだけしていた。ただ、県内では住宅修繕業者が不足しており、わずか1年で自宅の生活環境を回復できるかは極めて不透明だ。住民の不安を招き、地元の「了解」が前提である解除時期の決定に影響する可能性もある。
 審査会は1年を目安とする根拠について(1)避難指示は政府と住民が事前協議して解除するため、住民は解除時期をある程度予想、準備できる(2)1年間あれば学校や仕事などの生活の節目を迎え、避難者は帰還時期を合理的に選択できる(3)住宅修繕に必要な業者選定や工事期間を考慮しても、一般的に1年あれば帰還が可能-とした。
 これに対し、大谷禎男委員=弁護士・原子力損害賠償紛争解決センター総括委員長=は、住宅修繕業者の不足を指摘。「順番を待っているうちに1年が過ぎてしまう。実際、センターでそうした声が聞かれている」とし、方針に異論を唱えた。
 しかし、大谷氏以外の委員からは、住民が住宅修繕や社会基盤整備に"納得"しなければ解除に合意しないと予想されるため、「原則としては適切」との意見が相次ぎ、事実上、1年とする方向でまとまった。
 今月14日に開かれた田村市都路町の避難指示解除準備区域の住民と政府の意見交換会では、住宅修繕などに対する不安が相次ぎ、11月1日を想定していた市の解除時期が来年春ごろまで先送りになった。解除の動きが進めば修繕需要が高まり、業者不足がさらに深刻化することが予想される。解除時期の住民理解が得られない事態も考えられる。
   ◇  ◇
 審査会では、上乗せを検討していた避難区域の宅地の賠償について、避難区域外の都市部で住宅を取得できるよう、県内都市部の標準地価が以前の所有地の事故前価格を上回った場合、差額の50~75%を上限に支払う方針を示した。前回の会合で現行の最大3倍に引き上げる方針を示していた家屋の賠償額については、3~4倍(新築時点相当の6~8割)の範囲で調整する。今後、それぞれの範囲でどの程度上乗せするのが適当か詰める。
 委員からは宅地について「差額分の全額を支払うべき」との意見も出た。能見善久会長(学習院大教授)は「賠償した土地が中間貯蔵施設建設で売却されることになれば、二重の利益を得ることになる」と難色を示した。
 審査会は協議結果を年内をめどに中間指針第四次追補としてまとめる方針。

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