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【仮設住宅】 2年超劣化深刻 きしむ床、カビ 修繕依頼月300件以上 県、年内に全戸点検開始

床のきしむ音が日に日に大きくなる大島さん宅

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による避難者が生活する県内の仮設住宅で、建物の劣化が深刻化している。大半が建設から2年以上経過し、床がきしんだり外壁が剥がれ落ちたりするケースが出ている。修繕依頼は月300件超に上り、冬場は建物のゆがみでできた隙間から風雪が室内に入り込む可能性もある。県は年内に、仮設住宅約1万7000戸全てを対象にした一斉点検に乗り出す。

■冬が心配
 「布団の上で寝返りをすると床がきしんで音がする。落ち着いて眠れない」。福島市の南矢野目仮設住宅に避難している浪江町の大島とし子さん(68)は寝不足気味の目をこすった。
 同仮設住宅は震災から3カ月後の平成23年6月に完成した。既に2年5カ月が経過しており、部屋の傷みが目立つ。床のきしみが特に気になる。歩くたびにギシギシと音がする。音は日に日に大きくなっているようだ。玄関付近の天井はカビで黒く変色してしまった。これ以上繁殖しないよう、天井の雑巾がけが日課になった。
 会津若松市の一箕町長原地区仮設住宅。大熊町から避難する斎藤重征さん(69)は最近、建物全体が少し傾いてきたのを感じる。住宅の基礎部分がコンクリートではなく、木ぐいであることが影響しているのではないかと考える。傾いた影響でトイレの窓や、居間と台所の間の戸には小さな隙間ができている。「これから本格的に寒くなるのに、大丈夫なのか」と表情を曇らせた。

■もろい外装
 県内の仮設住宅の9割超が建てられてから2年以上、経過している。県から仮設住宅の修繕を受託するNPO法人循環型社会推進センターには、毎月300件を超える修繕依頼が寄せられる。
 住宅の外装を直してほしいという依頼が増加している。受託直後の23年11月には4件だったが、今年9月は63件になった。玄関前の木製ステップや、窓の外側に設けた「ぬれ縁」が雨風でもろくなって破損するケースが多い。「けがにつながりかねない」と住民は表情を曇らせる。
 建物の骨組みがゆがみ扉や窓などが閉まらなくなる例もある。木造の仮設住宅では、日当たりの良い南側の壁が剥がれ落ちる傾向にあるという。新地町の仮設住宅では今年3月、強風で屋根が吹き飛ばされた。耐久性に不安が残る。
 郡山市の若宮前仮設住宅で暮らす富岡町の宇佐見正俊さん(79)は災害公営住宅での生活を希望しているが、入居の見通しは立たない。
 26日未明の震度4の地震では、自室で激しい揺れを感じ住宅の強度が心配になった。「いつ仮設住宅を出られるか分からない。安心して暮らせるよう、対応をしっかりしてほしい」と訴えた。

■すぐ補強
 県が年内に始める仮設住宅の一斉点検では、施工業者が1軒1軒を回り外部から状況を目視で確認する。
 基礎部分についても調べる。ほとんどの仮設住宅の基礎部分には木ぐいが使われており、腐食がないか、地中に沈み込んでいないかチェックする。
 来年3月までには終える予定で、不具合が見つかった場合にはすぐに修繕や補強をする。
 県建築住宅課の担当者は「住民の不安を払拭(ふっしょく)したい。徹底して調べる」としている。来年度以降も毎年実施する考えだ。

【背景】
 県は国の全額補助を受け、25市町村に仮設住宅を整備した。災害救助法に基づく入居期間は2年となっているが、政府は平成23年6月に政令改正し、県が必要と判断すれば1年ごとに延長できる仕組みとした。県は今年4月、県内の仮設住宅の入居期間を27年3月末まで延長することを決めている。現在約2万9500人が入居している。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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