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【中間貯蔵施設への搬入】 ダンプ不足渋滞懸念 汚染廃棄物3500万トン 鉄道の代替案も困難か

 環境省は1日までに、東京電力福島第一原発事故の汚染廃棄物を保管する中間貯蔵施設への搬入重量が3500万トンに上るとの試算結果をまとめた。県内で発生する廃棄物の3年10カ月分に相当する。同省が想定している3年間での運び込み完了のためには、連日2000台近いダンプ(10トン車)が必要になる。しかし、県内の登録台数は約2300台で運搬手段を確保できるか不透明だ。渋滞も懸念される。鉄道輸送には、事業者が難色を示している。

■増える恐れ
 搬入重量は、これまでの除染で県内で発生した土壌の量や、今後の作業面積などから算出した。
 内訳は、避難区域の国直轄除染が1500万トン、国が財政支援する市町村除染が1250万トンとなっている。このほか、実施の見通しが立っていない帰還困難区域や再除染などにより750万トンが発生すると見込んだ。
 一方、県内で平成23年に発生した家庭ごみなどの一般廃棄物と、汚泥などの産業廃棄物の総量は912万トン。中間貯蔵施設への搬入重量は、県内で発生する廃棄物の4年分弱になる計算だ。
 ただ、除染手法により、発生する量が増えるケースがあると指摘されている。森林除染の面積拡大や再除染を求める声が根強いため、搬入重量はさらに膨れ上がる可能性もある。

■2000台必要
 環境省は、仮置き場などから中間貯蔵施設への運搬手段として主に10トンダンプを想定している。1台で1度に9・4トン運ぶことができる。1年間の稼働日数を250日とした場合、帰還困難区域などを除く2750万トンを3年間で運び込むためには約2000台のダンプが1日2往復する必要がある。
 ただ、県内の10トンダンプの登録台数は2329台(平成23年3月現在)だ。復興関連工事の本格化で需要が高まる中、県内の8割超の車両を確保することはほぼ不可能とみられる。さらに、1日に2000台近いダンプが動けば施設の建設候補地である浜通り地方へ向かう道路が渋滞することも予想される。
 除雪業務がない夏場は東北地方や北海道の業者の確保も可能になる。しかし、トラック業界関係者は放射性物質の運搬に懸念を示す。青森県の業者は「中間貯蔵施設へ行くと、会社の評判が悪くなる恐れがある。安易には引き受けられない」と慎重だ。

■新たな手段
 環境省は、鉄道で廃棄物の一部を代行輸送する方向で検討に入った。JR東北線、常磐線、磐越東線などが候補になるとみられ、ダンプ輸送と同様、放射性物質の拡散を防ぐために容器などに入れて運ぶ案が浮上している。
 復旧作業中の常磐線は来春までに広野(広野町)―竜田(楢葉町)駅間が再開し、中間貯蔵施設の建設候補地がある大熊、双葉、楢葉3町への輸送は比較的容易になる。
 しかし、震災がれきの運搬実績があるJR貨物(本社・東京都)は、「高濃度の土壌などを運搬すれば沿線住民に混乱を招きかねない」としている。
 交通計画が専門の吉田樹福島大経済経営学類准教授は「鉄道輸送によって一般交通への影響を抑えることができる。道路輸送は交通事故対策など課題が多い。的確な運搬計画をつくり、沿線住民の理解を得ることが重要だ」と話している。

【背景】
 環境省は9月下旬の有識者検討会で大熊、楢葉両町に汚染土壌などの中間貯蔵施設を各5カ所整備する方針を示した。受け入れ・分別施設なども合わせて建設するが、具体的な設置場所は明らかにしていない。双葉町の現地調査は2町よりも遅れ、10月から始まった。受け入れ3町に対する設置要請は年明け以降になるとみられ、平成27年1月から3年間での搬入完了を想定している。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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