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今を生きる 古里にカフェ開店 自慢の料理で元気に 実家改装、癒やしの空間

古里に開店したカフェで笑顔で接客する高橋さん

■南相馬市鹿島区 高橋由布子さん(28)

 東日本大震災の津波で大きな被害を受けた南相馬市鹿島区北海老地区の一角に小さなカフェが開店した。高橋由布子さん(28)が古里に開いた「cafe NicoNico-do,(カフェニコニコドウ)」だ。店内にお客さんの笑顔の輪が広がっている。
 高橋さんは相馬女(現相馬東)高卒業後、仙台市や千葉県の専門学校で看護師を目指していた。しかし、平成18年、体調を崩して帰郷する。療養に努めながら夢について見詰め直した。
 父一幸さん(56)は甲冑(かっちゅう)師として、相馬野馬追の騎馬武者が身に着けるよろいかぶとを製作する職人だ。母徳子さん(55)は古い着物を活用した洋服作りをしている。自分の得意なことを生かす仕事に魅力を感じていた。自慢の料理を振る舞うことで、人々が元気になれる店を開こうと考えた。
 夢を実現するため、仙台市の飲食店で調理や接客の技術を学んだ。修業の途中だった23年3月、東日本大震災が発生した。仙台市で停電が続く中、沿岸部の北海老地区に住む家族の安否が心配だった。幸い高台に実家があり、家族は無事だったが、生まれ育った故郷は甚大な被害を受けた。
 飲食店で店長まで務めていたが、24年10月に古里に戻った。震災と東京電力福島第一原発事故は地域に暗い影を落としていた。「うつむきがちな人々に笑顔を取り戻したい」。古里での開店準備に取り掛かった。両親の協力を得て実家の納屋を改装し、壁は自らペンキを塗って絵を描いた。店内は雑貨やハンモックを置き、居心地のいい空間づくりを目指した。
 10月21日の開店から10日余りがたち、店には自慢のオムライスや週替わりのランチメニューを楽しみにするお客さんも増えてきた。「開いたばかりの店に不安がないわけではない。それでも自分次第できっと良くなるはず」と前を見る。営業時間は午前11時~午後6時。定休日は毎週火、水曜日。ディナーは予約制。問い合わせは同店 電話080(5573)8473へ。

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