東日本大震災アーカイブ

南相馬市、杉並からの義援金で小中学校に「文庫」 読書で心に潤い

杉並区ゆかりの作家の作品が並ぶ杉並文庫

 南相馬市は災害時相互援助協定を結んでいる東京都杉並区から寄せられた義援金を活用し、市内全22小中学校に「杉並文庫」の整備を始めた。1日から各校で貸し出しがスタートし、児童らが書棚に並んだ本を手に取っている。
 東京電力福島第一原発事故の避難指示解除準備区域にある同市小高区の5小中学校をはじめとした学校図書の充実と読書活動の推進が目的。区ゆかりの作家や著名人の作品を中心に、放射線や防災、環境教育などの書籍を平成27年度まで3年間で整備する。費用は総額約2000万円。
 市と杉並区は17年に災害時相互援助協定を締結。東日本大震災後、市には区民から義援金約5億8000万円が寄せられた。市は義援金を基に未来を担う子どもたちのための「みらい夢基金」を設立。今回は基金の一部を整備費用に充てる。
 同市小高区の小高、金房、鳩原、福浦の4小学校が共同で学校生活を送っている同市鹿島区の鹿島中敷地内にある仮設校舎では図書室に4校分860冊の杉並文庫が並んだ。区立中央図書館と市立中央図書館の司書らが連携し、区ゆかりの漫画家手塚治虫や映画監督宮崎駿、詩人谷川俊太郎が手掛けた作品をそろえた。書棚では区のマスコットキャラクター「なみすけ」なども紹介されている。
 杉並文庫を利用した福浦小の菊池愛香さん(4年)は「面白そうな本がたくさんあってうれしい」と書棚を眺め、目を輝かせていた。