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【第一原発汚染雨水】 地下貯水長期化の恐れ 漏えい不安抱え 大雨の緊急措置移送先なく

 東京電力福島第一原発の汚染水問題で、健全性が確認されていないにもかかわらず東電が排出基準を超える汚染雨水を入れた地下貯水槽の使用が長期化する恐れが出ている。東電は2、3号機タービン建屋地下に移すとしているが、いずれの建屋内も大量の汚染水であふれ移送の見通しが立っていない。地下貯水槽は今年4月、漏水した経緯があり、県は早急な対応を求めている。

■東電対応できず
 東電は台風26号の影響で大雨となった10月16日未明、地上タンク群を囲む漏えい防止用「せき」にたまった雨水を地下貯水槽に一時的に移送することを決めた。正規手順では、排出基準を上回る雨水は専用のタンクに貯蔵後、タービン建屋に運ぶ。しかし、雨量が移送するスピードを上回ったため、緊急避難的措置として使用した。
 台風27号に伴う雨対策でも利用され、地下貯水槽7カ所のうち漏えいが確認されていない2カ所に計3700トンを移した。
 東電の計画では、地下貯水槽の汚染雨水は2号機と3号機のタービン建屋地下に移送する。東電はタービン建屋内の汚染水を別の建屋に移す作業を続けているが、溶融燃料の冷却水や地下水が原子炉建屋から流れ込んでいるため、地下貯水槽の汚染雨水を受け入れる空き容量がない。地上にある雨水用の貯蔵タンク(4000トン)には8日現在、9割近い3500トンが入っており、地下貯水槽の汚染雨水は行き場を失っている。県は「地下貯水槽の長期使用は好ましくない」として早急な移送を求めているが、東電は対応できずにいる。
 高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県)の安全委員会委員長代理を務める関西大の小沢守教授(熱工学)は「根本的な対策がなされないまま地下貯水槽を使用し続けると再び漏えいが起きる可能性がある。東電は長期的な対応に対する視点が欠落しており、抜本的な対応が必要だ」と指摘している。

■破綻寸前
 東電の試算では、排出基準を上回り貯蔵の必要がある汚染雨水は年間約5万5000トン。1日当たりに換算すれば150トンにも達する。
 東電は緊急対策として、全ての貯蔵タンクに雨どいを設置する方針を固めた。円柱状のタンク上部をシートで囲み、たまった雨水はせきの外に排出する。だが、タンク側面などに当たる雨は、せきに入るため効果は限定的だ。
 第一原発では雨水のほか、1日400トンの地下水が汚染水となって増え続けている。東電はタンクを2日間で1基(1000トン)のペースで増設している。建屋への地下水流入を減らす「地下水バイパス」計画などが実現しなければタンク容量は2年後、足りなくなる。このため、6万トン近い水を貯蔵できる地下貯水槽は今後も応急的に使われる可能性がある。

■早急に対応を
 作業を監視する立場の原子力規制庁は、福島民報社の取材に対し「使用はやむを得ない」と移送を容認している。
 一方、県関係者は「(規制委員会には)早く東電を指導し、事態を改善してほしい」と求めている。

【背景】
 東電はせきにたまる雨水の排出基準を独自に設けている。放射性セシウム134は1リットル当たり15ベクレル未満、セシウム137は同25ベクレル未満、ストロンチウム90は同10ベクレル未満としている。基準値を上回る雨水は専用の貯水槽に入れ、タービン建屋に移送する計画だ。地下貯水槽は第一原発内に7カ所あり総容量は5万8000トン。大量に貯蔵できるが、4月に相次いで漏えいが発覚した。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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