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第一原発周辺国有化 国の唐突さに戸惑い 「丁寧に説明すべき」

 「寝耳に水」「避難者の気持ちを踏みにじるのか」。政府が中間貯蔵施設建設のため、東京電力福島第一原発の周辺約15平方キロの国有化を進める方針を固めたことが分かった22日、第一原発が立地する大熊、双葉両町の避難者らに戸惑いが広がった。一方、自宅周辺の放射線量が高く、帰還困難区域に設定されている住民の中には「仕方がない」と諦めの声も。地元の首長や県の担当者らは唐突な国有化方針に困惑の表情を浮かべた。
 「ある程度覚悟はしていたが、寝耳に水だ」。大熊町の福島第一原発近くの夫沢三区区長を務める冨田英市さん(70)はつぶやいた。今は会津若松市の仮設住宅で避難生活を続けている。
 大熊、双葉両町は年間被ばく線量が50ミリシーベルトを超える帰還困難区域が、いずれも人口比で96%に上る。「国の方針に従えと一方的な姿勢では住民に反発が起きる。補償を含めた対応をどう考えているのか丁寧に説明すべきだ」と求めた。
 自宅が双葉町で、いわき市の仮設住宅で避難生活を送る農業斉藤宗一さん(63)は「除染や復興に向けた対策を進めようとせず、一方的に土地を国有化しようとは許せない。避難者の気持ちを踏みにじるものだ」と声を荒らげた。
 いわき市の仮設住宅の無職中山洋子さん(60)の自宅は同原発から約8キロ離れた大熊町にある。「今後どうなるか分からず、古里に立ち入れない場所ができると思うと不安だ」と語った。
 同原発から五キロ圏内に自宅があり、いわき市の仮設住宅に避難している大熊町の主婦(65)は「古里に帰りたいが現実的には厳しい。仕方がない」と受け止める。自宅周辺は帰還困難区域に指定され、放射線量は毎時3~4マイクロシーベルトほどある。「新たな土地で再出発したいとの気持ちを抱く人は多い」と打ち明けた。
 双葉町からいわき市の借り上げ住宅に避難している無職大橋庸一さん(72)の自宅は同原発から直線距離で約1キロ。「廃炉作業でトラブルが起きる可能性があり、周辺の国有化は仕方がない。一方で、古里がなくなってしまうとの寂しい気持ちがある」と複雑な心境を明かした。

■首長ら事実確認急ぐ

 地元自治体にとっては、中間貯蔵施設の建設候補地が公表される前に、住民帰還を事実上、断念せざるを得なくなる国有化方針が示される格好となり、首長らは「初めて聞いた」「事実確認を急ぎたい」などと困惑を隠し切れなかった。
 大熊、双葉両町は中間貯蔵施設の現地調査は受け入れたが、施設建設に向けては「白紙」状態のままだ。調査を終了した大熊町の渡辺利綱町長は「詳しい内容は分からないが(国有化方針は)あくまで環境省の考えにすぎない」とし、「事実関係の確認を急ぎたい」と話した。
 調査開始が遅れた双葉町の伊沢史朗町長も「初めて聞いた話で、事実の確認ができないのでコメントは差し控えたい」と言葉少なに語った。
 県産業廃棄物課の担当者は「県には何の情報も入っていない」とだけ述べた。

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