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帰還へ検診充実を ウクライナのグテービッチ副院長に聞く

アレクサンドル・グテービッチ副院長

 チェルノブイリ原発事故の健康影響などについて長崎大と共同研究をしているウクライナ・コロステン市のジトミール州立広域診断センターのアレクサンドル・グテービッチ副院長(57)は23日、福島民報社のインタビューに応じた。東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域への帰還に向け、検診の充実など住民の安心確保が不可欠との考えを示した。
 -チェルノブイリ原発から約100キロの距離にあるコロステン市で医師として原発事故後の住民に向き合ってきた。市内の現状は。
 「空間放射線量は事故前の水準に戻り、完全に以前の日常を取り戻した。事故発生当初は国内の他地域の住民から、いわれのない差別を受けたこともあったが、今はない。ただ、『空間放射線量が他地域よりも高い』などの誤解は残っている」
 -事故対応での反省点は。
 「たくさんの過ちを経験した。追加被ばくを避けようと、地域内のエックス線検査機器が壊されたことがあった。検査ができなくなり、結核の発見が遅れて患者数が増えた。放射性物質の基準値を超えた牛乳の摂取制限が遅れ、甲状腺の内部被ばくが広がった。チェルノブイリ原発事故で得た多くの教訓が福島県の原発事故対応に生かされている」
 -県内の原発事故の避難区域解除後、住民の帰還をスムーズに進めるには何が必要か。
 「大気中に放出された放射性物質はチェルノブイリ原発事故と比較にならないほど少ないが、帰還後、住民がしっかりとした検診を継続的に受けられる体制が必要だ。健康保持に関する情報を常に提供し、安心感を持ってもらわなければならない。被ばくによる健康影響よりも、『将来、自分は健康を害するのではないか』という心理的な負担が心配だ。科学的な正しい知識を根付かせるため、自治体などが根気よく説明をすべきだ」

■避難区域などの現状視察で来県
 アレクサンドル・グテービッチ副院長は23日、長崎大の高村昇教授(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)、高橋純平国際連携研究戦略コーディネーターと共に福島民報社を訪れた。
 グテービッチ氏は、長崎大が川内村に設置している支援拠点や、原発事故の避難区域の現状を視察するなどの目的で来県した。

カテゴリー:福島第一原発事故

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