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【伊達 川内 避難勧奨地点解除あす1年】 帰還2割にとどまる 放射線不安根強く 霊山の小国 古里再生へ住民組織

 東京電力福島第一原発事故を受け、伊達市と川内村に設定された「特定避難勧奨地点」が解除されてから14日で1年を迎える。放射線に対する不安は根強く、伊達市で自宅に戻ったのは避難世帯の約2割にとどまる。一方、旧勧奨地点の大半を占めた同市霊山町小国地区の有志らは、古里再生を目指した住民組織を設けた。市に健康管理や地域振興に向けた取り組みを求める。

■線量の低い所で
 伊達市では霊山町小国地区をはじめ、石田、月舘町月舘、保原町富沢の128世帯(485人)が特定避難勧奨地点となった。市によると、94世帯(333人)が市内外に避難、34世帯(152人)は自宅にとどまった。解除後、避難したうちの約2割に当たる19世帯(62人)は帰還したが、75世帯(271人)が戻っていない。
 市内の旧勧奨地点を含む地域の除染は今年8月までに完了した。原発事故発生から半年後、毎時3マイクロシーベルト近かった小国ふれあいセンターの空間放射線量は現在、同0.4マイクロシーベルト程度まで下がった。しかし、今でも目に見えない放射線への心配が付きまとう。
 勧奨地点となった霊山町上小国の介護職員の女性(37)は夫、3人の子どもと5人で福島市のアパートで避難生活を送る。市による除染前に毎時3マイクロシーベルトほどだった自宅前の線量は同1マイクロシーベルト未満に下がった。ただ、自宅に戻る気はない。「子どもには、できるだけ線量の低い所で生活させたい」と望む。子どもたちは福島市での生活にも慣れた。
 伊達市は昨年7月、全市民にバッジ式積算線量計を配布し、外部被ばく線量の測定を始めた。今年夏、結果集計のため線量計を市に返すよう求めたが、約2割は提出しなかった。同じ市内でも、放射線に対する考え方に温度差があることが浮き彫りとなった。
 伊達市と同時に解除された川内村の一世帯(3人)は、放射線への不安から村内の仮設住宅で避難生活を続けている。

■振興策を立案
 小国地区の住民組織「小国地区復興プラン提案委員会」は1日、設置された。自治会員、小学校PTA役員、農家、市議らで構成する。放射線対策などの健康管理、企業誘致をはじめとする地域振興策を立案し、市に提案する。
 委員長を務める菅野康男さん(76)は「勧奨地点が設定された後、地域全体の元気がなくなっている。たくさんの住民が参加できるイベントなどを企画したい」と夢を描く。国、県、市の継続的な支援を求めている。

【背景】
 政府の原子力災害現地対策本部は平成23年6月から同11月にかけ、東京電力福島第一原発事故発生から1年間の積算放射線量が20ミリシーベルトを超える、局地的に線量が高い地点を特定避難勧奨地点に設定した。伊達市は128世帯(485人)、川内村の一世帯(3人)の他、南相馬市の152世帯も対象となった。除染などによって1年間の積算線量が20ミリシーベルト以下になることが確実になったとして、同本部は昨年12月14日、伊達市、川内村分を解除した。南相馬市は継続している。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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