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避難生活もう限界 借り上げ・仮設住民が訴え 災害公営住宅整備を

福島市の仮設住宅で夫直延さんの遺影を見詰める近藤さん

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴う県内の震災関連死認定数が直接死者数を上回ったことで、避難生活の過酷な実態があらためて浮き彫りとなった。仮設住宅や借り上げ住宅の住民は「窮屈な暮らしで、ストレスがたまる一方。もう限界だ」と声を上げ、行政に災害公営住宅を一刻も早く整備し孤立防止策を強化するよう求める。市町村は高齢者の健康状態を把握するため訪問活動を続けているが、避難は広範囲に及び手が回り切らない状況だ。

 県によると、12日現在、県内の仮設住宅に2万8921人、借り上げ住宅に5万2738人が入居している。
 「先の見えない仮設住宅の1人暮らしはつらい。国や県、町には安心して生活できる住まいをつくってほしい」。福島市の仮設住宅に住む浪江町の無職近藤忠子さん(74)は、仮設住宅より広い災害公営住宅に1日も早く移りたいと願っている。
 昨年7月に夫の直延さん=享年(74)=を亡くした。避難後に初期の肺がんと診断された。3カ月にわたる抗がん剤治療を受けたが改善せず、帰らぬ人となった。
 「心労とストレスが大きかった」。忠子さんは当時を振り返る。直延さんは津波で妹夫婦が行方不明となり、遺体が発見されるまでの5カ月間、眠れない日々が続いていた。忠子さんも体調を崩し、不安と喪失感から不眠が続いた。安定剤を服用したときもあった。今でも、孤独感に襲われている。
 避難者の孤立を防ぐよう求める声は多い。福島市の借り上げ住宅に1人で住む広野町の着付け講師鈴木恵子さん(66)は「借り上げ住宅だと近隣の住民と接する機会が少なく、心細さが募る」と打ち明ける。
 家族3人で避難したが、原発事故発生から1カ月後に義母妙さん=享年(90)=が亡くなった。震災関連死の認定を受けた。夫忠昭さん=同(68)=も病気で昨年11月に他界した。町に戻りたいが、自分の年齢や健康状態などを考えると、医療機関が充実した福島から離れるのは難しいと考えている。「同じ境遇の人は多いはず。避難先で寂しくならないようケアしてほしい」と訴えた。
 楢葉町からいわき市の仮設住宅に避難している無職男性(65)の親戚は、避難中に病気を患い亡くなった。「避難による生活環境の変化が影響したのだろう。自分もいつ体調を崩すか分からない」と不安そうにつぶやいた。
 一方、県外では約5万人が避難生活を送る。埼玉県加須市の旧騎西高避難所に双葉町から避難していた無職柚原秀康さん(65)は17日、埼玉県内に購入した中古住宅に引っ越した。避難中に体調を崩し昨年8月に他界した義母永井イネさん=享年(89)=を思った。入院先の病室の天井を見詰め「双葉に帰りたい」と泣いた姿が脳裏から離れない。「古里の土を踏めなかった無念は計り知れない」と悔しそうに語った。

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