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小高で初の特例宿泊 自宅で餅つき供える

3年ぶりに自宅の床の間に鏡餅を供える安部さん

 東京電力福島第一原発事故の避難指示解除準備区域にある南相馬市小高区浦尻の造園業安部完治さん(71)、あきこさん(67)夫婦は3年ぶりに自宅で新年を迎える。小高区では、初めて年末年始の特例宿泊が可能になり、夫妻は市内鹿島区の仮設住宅から戻り、30日は正月の準備に追われた。
 浦尻地区は東日本大震災の津波で被災したが、自宅は高台にあり、無事だった。福島第一原発から北に10キロほどに位置し、空間放射線量は毎時0.22~0.25マイクロシーベルトほど。特例宿泊が始まっても、夜は地区内で家の明かりを見ることはほとんどない。
 震災前の年越しは4人の息子が家族とともに実家を訪れ、にぎやかな新年を迎えていた。10畳の居間いっぱいに子どもから大人まで約10人が集い、畑で収穫した野菜などを具材に、料理自慢のあきこさんお手製のたれで焼き肉パーティーをするのが恒例だった。「やっぱり放射線のことが気になるのかな。今年は夫婦水入らずの年越しになるかも」。あきこさんは自宅でついた鏡餅やナンテンで床の間を飾りながら、少し寂しそうに笑った。
 あきこさんは震災後、市観光ボランティアガイドとして県内外から訪れるツアー客に被災地の現状を伝えている。ツアーの途中、自宅の前を通ることもあった。そのたびに、先祖代々受け継いできたわが家を守りたいという思いは強くなった。
 今後、避難区域が解除されれば、あきこさんは自宅前の畑で本格的に菜種を栽培し、油の精製を目指す。一面に黄色いじゅうたんが広がる光景を、いつの日か孫たちに見せたいと願っている。

カテゴリー:福島第一原発事故

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