東日本大震災

  • Check

学問の神様の梅 梅が校章の福高に 校舎被災の生徒激励 同窓生が太宰府天満宮に依頼

5本の梅が植樹される予定の福島高の前庭

 「学問の神様」として知られる福岡県太宰府市の太宰府天満宮で育てられた梅の若木5本が2月下旬、「梅花」を校章とする福島市の福島高に植樹される。東日本大震災で、今なお仮設校舎で不自由な学校生活を強いられている生徒たちを励まそうと、同校の卒業生が天満宮に働き掛けて実現した。菅原道真の和歌に由来する「飛梅(とびうめ)」を、ご神木とする天満宮が神社関係以外に贈るのは極めて異例だという。約1000キロの距離を飛び越えて神様の梅が舞い降りる。

 「清らかであれ 勉励せよ 世のためたれ」を梅章の教え(校訓)としている福島高は、震災で大きな被害を受け、校舎の半分が使えなくなった。震災の年に入学した現在の3年生は、入学当初から体育館や仮設校舎での授業を強いられた。昨年から校舎の改築工事が始まり、校庭も十分に使用できない中で3年間の高校生活を終えようとしている。
 高校33回(昭和56年3月)卒業生を中心とする同窓生は「厳しい環境の下でも後輩たちには福高で学んだ誇りを持ち、郷土復興に尽くしてほしい」と、新たな心のよりどころとなる日本一の梅を贈ろうと考えた。
 「学問の神様で知られ、梅の名所でもある太宰府天満宮の梅を分けてはもらえないか」。卒業生の1人で、福島稲荷(いなり)神社の丹治正博宮司を通じて天満宮に趣意書を送ったところ、天満宮の西高辻信良宮司が思いに感銘を受け、寄贈を快諾した。
 梅は寒さに耐え忍び、雪中に凜(りん)として咲き、春に先駆け、どの花よりも最初に咲く。西高辻宮司は「次代を担う若者に、どうして天神様が梅を愛されたのか感じてほしい」と願う。
 福島高に贈られる若木は、天満宮で育てた白梅3本と紅梅2本の計5本。2月下旬ごろ、校舎の前庭に植樹される予定だ。5本のうち、白梅、紅梅各2本には呼称があり、かつて総理大臣官邸で小泉純一郎元首相に盆栽として贈られて話題になった「想いのまま」も含まれている。白梅1本には呼称がなく、福島高で自由に名前を付けることができる。
 「在校生だけでなく、卒業生にとっても大変、大きな贈り物になる」。福島高同窓会の川崎真二会長は天満宮の計らいに感謝している。

■来月28日に植樹の式典
 5本の梅の若木は2月中旬ごろ、川崎同窓会長、本間稔校長らが太宰府天満宮を訪れ受け取る。福島高で卒業式前日の2月28日に行われる3年生同窓会入会式に合わせて植樹セレモニーを行う。当日は太宰府天満宮の西高辻宮司が同校を訪れ、生徒たちに講話する。記念碑の除幕も行われる。

※菅原道真と太宰府天満宮
 菅原家は学問をもって朝廷に仕える家柄だった。道真(845~903年)は文武両面に傑出し、右大臣まで務めたが、無実の罪で大宰府に左遷される。その際に詠んだのが「東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」(太宰府天満宮表記)の和歌だ。都の庭にあった梅はあるじを慕い、一夜のうちに大宰府まで飛んだとされる「飛梅」伝説が残る。道真は大宰府で没し、墓所の上に太宰府天満宮の社殿が造営された。現在は年間約700万人の参拝者があり、境内は日本有数の梅の名所となっている。

福島高に贈られる太宰府天満宮の梅の若木の一つ(中央)

東日本大震災の最新記事

>> 一覧