東日本大震災

「福島第一原発事故」アーカイブ

  • Check

第二の人生 広野のため 前橋から移住 看護師・森村栄子さん

スタッフと打ち合わせを行う森村さん(中央)

 広野町の高野病院。看護部主任、森村栄子さん(63)はスタッフとの打ち合わせで、病院内を忙しく動き回る。平成25年4月、62歳で古里・前橋市の病院を定年退職し、夫の英之(えいじ)さん(62)と一緒に広野町に移り住んだ。働き始めて1年近くになる。「第二の人生を、人の役に立てたかった。必要とされることに、責任と充実感を感じる」と話す。
 森村さんは定年間近の24年11月、本県が東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による深刻な看護師不足で、地域医療が崩壊の危機にある-との報道をテレビで偶然見た。窮状を訴えた高野病院に、すぐにメールを送った。「(再就職を前提に)伺いたい」
 高野病院は、福島第一原発から直線距離で20数キロの太平洋を望む高台にある。震災と原発事故の発生後も、休まず診察を続けた。100人ほどいた医師や看護師ら職員は一時、減ったが現在は8割ほどまで回復した。30数人の看護師のうち十数人は、震災の後、県外から再就職した。高野己保事務長(46)は「被災地で働く強い思いに感謝したい」と話す。ただ、まだまだ人手は足りないという。
 森村さんは群馬県出身。中学3年の14歳の時、病弱だった父に付き添った。病室で看護師が取った心ない行動と言葉に傷ついた。「何気ない行動や言葉が大切だ」。その思いが看護の道を志すきっかけになった。17歳で念願の看護師になり、前橋市の病院で働いた。白衣に秘めた思いは今も変わらない。
 「地道な看護がやがて信頼を生む。縁の下の力持ちに徹する」。森村さんは、看護師としての誇りを胸に地道に仕事を続ける。若いスタッフらと共に第二の古里に一人でも多くの町民が戻ってくることを願う。

カテゴリー:福島第一原発事故

「福島第一原発事故」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧