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放射線 放射性物質 Q&A サイログロブリンでがん分かるか

 甲状腺がんが発生した患者は、血液中の「サイログロブリン」という物質の濃度が上昇すると聞きました。このサイログロブリンを測定すれば、甲状腺がんが発生しているかどうかが分かるものでしょうか。

【回答者】県放射線健康リスク管理アドバイザー長崎大教授 高村昇さん

■甲状腺にある細胞が生成 他検査と組み合わせ診断を

 サイログロブリンという物質は、甲状腺の濾胞(ろほう)細胞で合成されます。甲状腺が分泌する甲状腺ホルモンのいわば原材料であり、通常は甲状腺の中に蓄えられた状態になっています。
 サイログロブリンは甲状腺の濾胞細胞のみで作られるため、甲状腺の腫瘍がサイログロブリンを産生する時や、特定の物質によって甲状腺が刺激された時、甲状腺の炎症で甲状腺組織が破壊された時などに血液中のサイログロブリン濃度が上昇することが知られています。
 例えば、甲状腺がんの患者さんの治療として甲状腺全部を摘出した場合には、体の中に甲状腺の細胞が存在しない状態になりますので、通常、血液中のサイログロブリン濃度が高くなることはありません。
 もし甲状腺を全摘した患者さんで血液中のサイログロブリン濃度が高くなった場合には、甲状腺がんが再発している可能性や、肺転移、骨転移といった遠隔転移がある可能性があるため、精密検査をする必要があります。
 一方、血液中のサイログロブリンは甲状腺がんだけでなく、甲状腺の良性腫瘍や慢性甲状腺炎、甲状腺機能亢進(こうしん)症などのいろいろな甲状腺の病気で上昇することが知られています。このため、血液中のサイログロブリンの検査だけでは甲状腺の腫瘍が良性か悪性かを鑑別することはできません。
 超音波検査や顕微鏡で病変部位の細胞を観察するなどの検査を組み合わせて最終的な診断を行う必要があります。

カテゴリー:放射線・放射性物質Q&A

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