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「社会基盤復旧」 防潮堤に住民願い

釣師浜で海を見詰める川上さん=新地町

 防潮堤や防災緑地など様変わりを遂げようとする本県沿岸部。今も残る津波の記憶に、住民は安全の実感できる社会基盤の整備を望む。


■震災の教訓継承し海に親しめるよう

 新地町の津波被災地では防潮堤や防災緑地の整備が進む。「安全な暮らしを守り、震災の教訓を継承できるような機能を備えてほしい」。同町の「しんちビーチク隊」代表の川上照美さん(38)は沿岸再生に願いを込める。

 仙台市出身。「波乗り」を通して夫と出会い、平成17年の結婚を機に同町に移り住んだ。沿岸部の自宅は津波にのまれ、仮設住宅で暮らす。宮城県の施設にいた夫の祖母も犠牲になった。「大好きだった海なのに、全てを奪われた。うらめしく思った」
 震災からしばらくして、がれきが散乱したままの沿岸の姿に触れた。「このままではいけないと感じた。悲しみに満ちたままの海岸をなんとかしたい」。夫や仲間と共にがれき撤去、ごみ拾いのボランティア活動「ビーチクリーン」を始めた。

 「人は自然と共生して暮らしていかなくてはならない。みんなが再び海に親しめるような防災対策を進めてほしい」と求めている。


■「命を守るために」

 いわき市平の豊間地区は津波で甚大な被害を受けた。「市民の命が守られるような環境の整備を早急に進めてほしい」。地区内でコンビニを営む金成伸一さん(55)は訴える。

 市の復興事業計画では、堤防のかさ上げの他、防災緑地や避難路機能を兼ね備えた市道整備などを平成27年度末までに完了させる計画。金成さんは「避難路や堤防などが少しでも早く整備されれば、多くの住民が安全・安心をより実感できる」と強調する。

 津波被災地では、復旧後の若者世代の帰還が大きな課題になることも感じている。「住民同士で協力して、コミュニティーが維持できるような魅力あるまちづくりを進めたい」
   ◇    ◇
 いわき市の永崎地区の区長を務める秋山和夫さん(66)は「住民の命を守るためには一刻も早く防潮堤の建設が必要だ」と訴える。同地区は津波で大きな被害を受け、震災前に約340世帯あったが、現在は約250世帯となっている。津波を避けるために高台移転した住民もいるが、同地区で再建した住民も多い。

 一方、現在工事が進む防潮堤が完成することで景観が損なわれる懸念もある。永崎海水浴場がある同地区は美しい海岸線が広がっているが、陸地からはほとんど見えなくなる。秋山さんは「住民の命と景観を考えれば、答えは一つしかないだろう」と話す。防潮堤は緑地化する予定だ。「コンクリートの壁よりはいいが、手入れをして美しく保たなければ意味がない」と語る。

カテゴリー:震災から3年

津波で最大被害を受けたいわき市豊間地区。堤防のかさ上げや防災緑地の整備などで地域の防災力を高める

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