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大の車好き、ラリーに出場 土木会社勤務、責任感強く

■南相馬市鹿島区北右田 浜田孝二さん(53)

 孝二さんは大の車好きだった。20代の時はラリー大会に出場するほどの腕前で、東北各地に出掛けた。友人の紹介で知り合った早苗さん(55)と昭和59年に結婚してからは2人でドライブを楽しんだ。車で京都へ旅行したこともあった。
 南相馬市にある土木会社で働き、道路工事に携わってきた。仕事熱心だった。大雨が降った際、夜遅く会社から連絡が入ると、すぐに現場の様子を見に向かった。
 地震が起きた時、孝二さんは同市原町区の山間部で林道工事に当たっていた。早苗さんは同市鹿島区のJAそうま本店で働いていた。早苗さんは海沿いの道を車で走り、自宅へ向かった。残り700メートルほどまで来たところで、白い波が海沿いの松林を越えたのを見た。急いで山側の方へ逃げた。孝二さんの携帯電話を鳴らしたが応答はない。「仕事をしていて電話に出られないのだろう」。早苗さんは無事を信じていたが、何度かけてもつながらなかった。
 願いはかなわず、孝二さんは翌日、自宅から西へ約2キロ離れた地域で消防団員に発見された。地震発生後、作業現場から車で自宅に向かっている途中で津波に襲われたとみられている。
 津波で自宅や先祖代々の墓も流された。孝二さんの遺骨は、市内に建てた早苗さんの自宅にある。新しい墓が昨年9月に市内に完成したが、新しい家に1年間は住ませてあげたいと納骨を延ばしていた。建ててから1年となる4月に納める。周囲には住民の墓もある。早苗さんは「同じ地域の人と一緒にいれば(孝二さんが)喜ぶ」と考えている。
 早苗さんはこの3年間で、知らない人にもあいさつをするようになった。全国から訪れたボランティアの人たちの優しさに触れたからだ。「震災で家も家族も失った。ただ、今まで気が付かなかった、人の温かさを感じるようになった。得たこともある」

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