東日本大震災

  • Check

復興貢献誓い前へ 福医大と福島大で卒業式

式終了後、記念撮影に臨む佐々木さん。地域医療への貢献を誓っている

 福島医大と福島大の学位記授与式は25日、福島市の各大学で行われた。福島医大医学部を卒業した浪江町出身の佐々木奏映(かなえ)さん(24)は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を乗り越え、4月から研修医としてスタートを切る。福島大人間発達文化学類を巣立った福島市出身の佐藤玄太さん(22)は仮設住宅でのボランティアの経験を胸に、いわき市の中学校で国語の教師になる。それぞれの分野で本県の復興を支える。

■「苦しむ人助けたい」 福医大佐々木奏映さん

 佐々木奏映さんは「全ての患者に愛情を持って接することができる医師を目指す」と誓う。
 浪江町の浪江東中から、いわき市の磐城高に進んだ。幼稚園教諭だった母の影響で「幼い子どもの命を救う仕事がしたい」と漠然と医師を志した。
 平成23年3月11日。大学3年生の春休みに、帰省していた浪江町の実家で東日本大震災が起きた。東京電力福島第一原発事故が追い打ちを掛け、約2カ月間、家族と共に県内外を転々とした。
 そんな中、携帯電話には友人から安否を気遣うメールが数多く届いた。さらに新聞報道などを通し、次々と被災地に寄せられる支援を目の当たりにした。「県内で医師になり、苦しんでいる人を助けたい」。厳しい状況の中で触れる人の優しさに、医療が果たすべき役割を重ね合わせた。
 実家は避難指示解除準備区域で、両親と祖母は福島市で避難生活を続けている。避難者の不安や古里に戻れない思いは誰よりも理解できるつもりだ。4月から、福島市の福島赤十字病院で研修医として勤務する。2年間であらゆる医療現場を経験し、自分に合った分野を見つけていく。
 「県民はさまざまな苦しみや悲しみを抱えている。一人でも多くの患者を救いたい」。卒業証書を持つ手に力を込めた。

■将来担う子ども育てる 福島大佐藤玄太さん

 「ボランティアの経験を生かしながら、教育で福島の復興を支えたい」。佐藤玄太さんは4月から、いわき市の泉中で国語の教師として新たな一歩を踏み出す。
 福島市の大鳥中、橘高で指導を受けた教師たちの、生徒を第一に考えてくれる姿に憧れた。「教師になれるなら他県でも構わない」。最初はそう思った。
 しかし、1年生のときに東日本大震災が発生した。復興を目指して大学が主催した学生ボランティアに2年生のときから参加し、考えが変わった。芋煮会やクリスマス会などを企画し、仮設住宅で暮らす小中学生と触れ合った。「表向きは生活が落ち着いてきたように見えても、心に傷を負った子どもがいる」。本県が復興途上であることをあらためて痛感した。古里のために自分が目指すべきことが分かった。
 本県の教師になる夢を実現し、今は不安以上に期待が大きい。「福島の将来を担う子どもたちに、楽しく安心した学校生活を送らせたい」。新生活に向け、同級生と笑顔で語り合った。

新生活について同級生と笑顔で語り合う佐藤さん(右)

東日本大震災の最新記事

>> 一覧