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避難解除から10日 都路の帰還 道半ば 学校再開子ども戻る 20キロ圏まだ人影まばら

約3年ぶりに田村市都路町で再開した古道小に登校する子どもたち。左手奥にはオープンした商業施設がある=7日

 東京電力福島第一原発事故による田村市都路町の避難指示が1日に解除された。避難指示の解除は第一原発の半径20キロ圏に設定された旧警戒区域で初めて。住民は事故直後の区域設定から約3年ぶりに、制約のない居住ができるようになった。しかし、放射線への不安や生活環境の変化などから、どの程度の住民が戻るかは不透明だ。帰還と復興には健康面の不安解消の他、商業、雇用、医療態勢など生活基盤の整備が進むかが鍵を握る。避難区域を残す他の10市町村の先例ともなる、都路町の解除後の動向に注目が集まっている。

 避難指示が解除された第一原発から半径20キロ圏の住民は117世帯357人(2月末現在)。市によると、今月10日までに仮設住宅や借り上げ住宅の退居手続きを取った住民は1組だけ。自宅で暮らすのは、3月の長期特例宿泊登録数(27世帯90人)とほぼ同じ30世帯程度にとどまるとみられる。

 都路町の20キロ圏は国による除染が昨年6月に終了。8月には帰還準備を促す特例宿泊が始まり、自宅での継続的な生活が登録制で実現した。国と市は3カ月間の特例宿泊終了を前に「11月解除」を示したが、住民の反発を受け見送った。解除時期の調整を続けた末、今年2月の会合で赤羽一嘉経済産業副大臣(政府原子力災害現地対策本部長)が4月1日解除を表明した。

 都路町で人口の8割超を占め、平成23年9月に指定が解除された旧緊急時避難準備区域(原発から半径20〜30キロ圏)でも帰還率は3割にすぎない。市は今月6日に商業施設を30キロ圏の2カ所に開設し、7日には3つの小中学校を移転先から元の校舎に戻した。秋にはコンビニエンスストアが出店する計画で、20キロ圏の避難解除と並行して都路全体の環境整備を本格化させている。

 しかし、20キロ圏では除染後も年間追加被ばく線量が長期目標とされる1ミリシーベルト(毎時0・23マイクロシーベルト)を上回る地点が残る。健康面の不安の他、医療態勢や働き口の不足、避難先への適応などを理由に30キロ圏を含めて若い世代の帰還の動きは鈍い。再開した3校で対象の8割に当たる152人が学ぶが、その6割は避難先からバスで通学している。

 避難解除から1年以内に戻った人に一律で90万円(早期帰還者賠償)が支払われる一方、月10万円の精神的賠償は1年で終了する。生活を維持する上で産業の再生や新たな雇用創出が必要だ。

 市によると、都路に進出を検討する企業は複数あるが、農産物の風評の解消や森林除染の実施などの課題は残されたまま。震災前まで買い物や医療を頼っていた大熊町など周辺の避難指示が長引く中、住民の生活環境整備が急がれる。

 避難解除から11日で10日が過ぎたが、20キロ圏では人の姿はまばらなまま。帰還を迷う住民には「大型連休や夏休み中の帰還を視野に、周囲の動向を見極めたい」との声もある。


■帰還のメリット感じる施策必要
 都路町の高齢化率は35%で、全市の29%を上回る。過疎や高齢化の著しい地域だけに、若年層が帰還をためらう状況が長引けば衰退加速につながりかねない。帰還のメリットを感じられる施策が今後も求められている。

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