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凍土壁6月着工困難か 第一原発 経産省と規制委意見に溝

 東京電力福島第一原発で増え続ける汚染水の抜本的対策とされる凍土遮水壁の工事着手が遅れる可能性が出ている。6月に本格施工を始める計画だが、経済産業省と原子力規制委員会の意見に隔たりがあり、現状では規制委が認可しない構えだ。規制委は放射線量の高い建屋での止水など技術的な裏付けが不十分だと指摘している。

 規制委は3月末に都内で開かれた規制委の特定原子力施設監視・評価検討会で、汚染水の発生源とされる建屋への地下水流入を凍土遮水壁で大幅に減少させた後、最終的に建屋に滞留する汚染水を完全に取り除くとした経産省と東電の計画を問題視している。そのため、建屋周辺で施工に向けた試験ボーリングは始まっているが、凍土壁の本格施工に必要な実施計画の認可手続きが止まっている。
 建屋内の汚染水を完全に取り除くには、高線量下の建屋内での地下水の漏水箇所の発見や、漏水を止める作業員の放射線対策など多くの課題がある。建屋から水がなくなった場合に、溶融燃料をどのように冷やすのかとの問題が浮上する可能性もある。規制委は、凍土壁建設の目的に建屋内の汚染水除去が含まれると、作業の技術的根拠がなく廃炉作業の安全性を確保できないと指摘。経産省と東電に対し建設目的を明確にするよう求めている。
 規制委事務局の原子力規制庁の金城慎司東電福島第一原発事故対策室長は「(建設目的に)ドライアップ(建屋内の汚染水除去)まで含めると、審査として(認可は)難しい状況になる」と説明。現状では6月の本格着工は困難との見通しを示している。
 規制委の説明に対し経産省は、建屋内の汚染水除去は廃炉に向けた政府のロードマップに盛り込まれていると主張。その上で、凍土壁の主目的は建屋内の汚染水除去ではなく、地下水の流入抑制対策だとしている。担当者は「現状は建屋内に地下水を流入させないことが最も重要だ。建屋内の汚染水除去は、汚染水対策の段階が進んだ後に議論したい」と話している。
 経産省は、18日に都内で開かれる特定原子力施設監視・評価検討会で規制委側に理解を求める方針。凍土壁完成後に建屋内水位が地下水水位を上回ると高濃度汚染水が建屋外に流出する恐れがあることから、水位の管理対策についても規制委に説明する。
 いわき市で14日に開かれた廃炉・汚染水対策福島評議会で角山茂章県原子力対策監(会津大教育研究特別顧問)は「規制委の対応は県民の意識と懸け離れているのではないか」と述べ、汚染水の増加を抑制するために凍土壁の早期施工の必要性を訴えた。

カテゴリー:福島第一原発事故

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