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特殊手当1日6600円に減額 帰還困難除く国直轄除染 人員確保や遅れ懸念

 環境省は16日までに、国直轄除染で作業員に支払う特殊勤務手当について帰還困難区域を除く避難区域で日額1万円から6600円に減らすと同省福島環境再生事務所に通知した。手当がない避難区域外との格差を埋めるのが狙い。しかし避難区域を抱える市町村からは「人手不足が深刻化する」と反発の声が上がっている。

■環境省区域間格差を是正
 環境省は避難指示解除準備、居住制限の両区域での特殊勤務手当を減額した理由について、除染作業の開始当初よりも空間放射線量が下がったことなどを挙げ、「作業環境が大幅に改善され、他の市町村が実施している除染と大きな差がなくなった」と説明した。
 また、作業員の一日当たりの労務単価について、除染作業が開始された当初の平成24年5月時点の1万700円から、26年4月には1万6千円に上がっているとした。
 同省によると、国直轄の除染に従事している作業員は16日現在で約6500人。今後、飯舘、南相馬、浪江、富岡、川俣、葛尾の6市町村で除染作業が本格化するため、大幅に需要が増え、約1万人が必要となると見込んでいる。同省は「昨年のピーク時にも1万人規模の作業員は集まっており、作業員不足にはならない」と分析している。

■工程に影響、東京五輪に流れる 自治体は不安視
 手当が引き下げられた避難指示解除、居住制限の両区域がある南相馬市。対象となる小高区と原町区の一部の住宅除染は、今年3月中旬に着手したばかりだ。市除染対策課の担当者は「ただでさえ作業員が集まらない中、さらに確保が難しくなるのではないか」と心配する。小高区から原町区へ避難している無職男性(68)は「わが家に一日でも早く帰りたいが、人手がなくては除染が進まない」と不満を口にした。
 川俣町山木屋地区の避難区域では5月上旬から一日当たり約2500人の作業員が除染に当たり、来年12月の完了を目指す。古川道郎町長は「工程通りに進むかは作業員が確保できるかにかかっている」と強調した。
 5月上旬から除染が本格化する飯舘村。一日当たり3千~4千人の作業員を見込んでいるが、村の担当者は今後、東京五輪関連工事に作業員が流れると不安視する。「特殊勤務手当は作業員をつなぎとめる効果があったのに...」と語った。

■避難区域外の市町村作業員の動向注視
 国直轄除染区域外は、各市町村が除染事業を実施している。市町村の担当者は国直轄除染区域の特殊勤務手当減額による作業員の動向を注視する。
 今後、国直轄除染が本格化すると、作業員の不足が懸念されるためだ。田村市の担当者は手当の引き下げ後も、避難指示解除準備、居住制限の両区域の作業員には一日6600円が支払われることを挙げ、「手当がない地域の作業員確保は難しい状況が続く」と分析した。

■作業員の士気低下を心配 請負業者
 県内で除染を請け負っている業者の関係者は「特殊勤務手当の減額で、作業員の士気が下がらないといいのだが...」と話す。作業員の担当地区は、業者が割り振っているという。同じ作業であっても手当が引き下げられる避難指示解除準備、居住制限の両区域と、据え置きの帰還困難区域の収入に格差が生まれることになる。作業員のトラブルに発展する可能性があるという。

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